第4話『(妹と)立体音響ASMRを聞かせてくれるドジっ子お姉さん』

トントントン…(階段を登る音)


ガチャ(扉を開ける音)


トストス…ストッ(歩いてから座る音)


カチッ(マイクのスイッチを入れる音)


『やっほ~!お兄ちゃんの事が大好きなお姉ちゃんの妹の美優だよ~っ!』


「え!?ちょ、ちょっと美優!?一体何を…」


『何をって…今からASMRを録るんだよ?』


「…な、何で?」


『お姉ちゃんが不甲斐ないから』


「うぐっ」


『だ~か~ら~、今日はそんなお姉ちゃんの代わりに…私がASMR、やっちゃいま~す!』


「えっ…だ、駄目よ!駄目!それは駄目!」


『え~、何でよ~?』


「な、なんでもよ!とにかく!美優がASMRを録るのは認めないから!」


『え~、つまんないの~。…あ、だったらさ、お姉ちゃんも一緒に録れば良いんじゃない?』


「はぇ?」


『立体音響ってやつだよ~、ほらほら、左右から違う声が聞こえてくるやつ!』


「う、うーん………成程?」


『ってことで!ほらほら、やるよお姉ちゃん!』


「え、ちょ、ちょっと!も~…強引なんだから…」


数分後…


『ということで…今日はお兄ちゃんに左右から囁きASMRをしてあげま~す』


「し、しま~…す」


『お兄ちゃん、今日もお仕事お疲れ様っ、私達のASMRで…癒やされていってね?』


「あ、え、えと…い、癒やされてね?」


『お姉ちゃんなんでちょっと及び腰なの?そんなんじゃ全然駄目だよ?』


「う、うう…だ、だって…こういうのは…恥ずかしいし…美優の方がメインになってるし…」


『お兄ちゃんに嫌われてもいいの?』


「うぐっ!…い、嫌…です…」


『うんうん、素直なお姉ちゃんは大好きだよ~』


「うう…」


『ということで改めて…ふふっ、お兄ちゃん…どうしたの?そんな顔真っ赤にして…あ、もしかして急に隣に来たからびっくりしちゃった?』


「あ、えと…し、失礼…してます…」


『…もうっ!そんなに緊張しなくても大丈夫!お兄ちゃんと私の仲じゃ~ん!』


「え!?あ、そ、そう…よね…キミと私の仲…だもんね」


『…あ、もしかして…照れてる?あははっ、お兄ちゃん可愛い~!私のことそういう目で見てたんだ~!』


「えっ!?照れ…あ、えと、その…あの…じ、実は私も結構恥ずかし…な、なんでもないですっ!」


『んふふっ、嘘嘘、冗談だって!それに、お兄ちゃんにならそういう目で見られても私…』


「ああっ!?ちょ、美優!?それは嘘よね!?冗談よね!?」


『…さあね~?どっちでしょう』


「…う、うう~っ!き、君もやっぱり私なんかよりも…美優みたいな子の方が…その…好き、だったりするの?」


『お兄ちゃんは私のほうが好きなんだもんね~?』


「えっ!?わ、私じゃ…駄目…ですか?」


『私だよね~?』


「う、うう………わ、私だって…」


『私なんか…こんな事だって出来ちゃうんだから』


ぎゅ~っ(マイクの横の布団を抱きしめる音)


「はぇ!?美優ったら大胆…」


『お姉ちゃんもやるんだよ?』


「え!?あ、そ、そうよね…こ、こうかしら?」


むぎゅ(布団を抱きしめる音)


『お姉ちゃん…やれば出来るじゃん』


「え、えへへ…そうかな…?」


『じゃあこ~んなことも…出来るよね?お耳に優しく…ねー』


ふぅ~っ(マイクに息を吹きかける音)


「え!?あ、や…それは…」


『ふ~ん?出来ないんだ?』


「え!?で、でき…でき…る…わよ!」


ふぅ~~~っ(優しくマイクに息を吹きかける音)


「…ど、どうよ!」


『ふ~ん…お姉ちゃんもなかなかやるじゃん。それじゃあ…とっておき…』


ん~………ちゅっ(マイクにリップ音を聞かせる)


『あはっ…お耳にキスしちゃった~』


「…!?!?!?!?!???!?!?」


『あ、お姉ちゃん動揺してる~!出来ないんだ~?お兄ちゃんの為でも出来ないんだ~』


「あ、あうう………で、でき…でき…」


『でき~?』


「…や、やってやるわよっ!ん…」


ちゅ~~~っ…んぱっ(マイクの近くでリップを吸って離す音)


『わお、お姉ちゃん大胆~!』


「あ、あう、あう………」


『ん?お姉ちゃん?』


「み…」


『み?』


「美優の意地悪~っ!」


『ええ~っ!?』


「だ、駄目よこんな~!だって~!本当はこういうのだって君の隣で直接やってあげたいのにぃ~!」


『ちょ、お姉ちゃん!』


「それなのにぃ…美優に先越されて…うう…美優のばがぁ!ふえ~ん!」


『お、お姉ちゃん!?ご、ごめんって!本当ごめんって!』


「やだぁ!あの子は私が先に好きだったのにぃ~!」


『ほ、本当ごめんって…ちょっとしたいたずらで…』


「うぅ…美優なんかきらいぃ…」


ぱさっ(布団を被る音)


『お、お姉ちゃん…ふて寝しちゃった』


『あ、え~と…お姉ちゃんがふて寝しちゃったので今回のASMRはここまでで…えっと、なか本当にもどかしくなってきたな…お兄ちゃんもお姉ちゃんも、気持ちはちゃんと言葉にして伝えないと駄目だからね?』


『それじゃあ、次回もお楽しみに!』

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