コールド・リーディングとルール

「ベットする前に1つ先輩に聞いていいか?」


「なんだクソガキ」


さっき煽ったことまだ怒ってるみたいだった


「あんた


俺はバカにした口調で言う


「根拠は?」


「んまー見てたらわかるし例えば磁石とか」


俺は将棋のように詰めていく


「何言ってやがる、そんなわけ無いだろ!」


先輩が目をそらす


「動揺したな?図星か?」


俺は先輩をよく観察する


「コールド・リーディングって言ってな?ちょっとしたコツさえあれば相手の思考が手に取るようにわかることができる能力さ、俺もさっき紙で学んだばっかなんだけどな」


俺は零からもらった紙を先輩に見せる


「なんだと、舐めやがって‼」


先輩は勢いよく手を叩きつける


「いいぜ俺がハッタリじゃないことを証明してやるよ」


「俺は黒の6にベットだ」


かかったな?


「じゃあ俺達は赤の1にオール・インだ」


周りがどよめく


先輩が勝ちを確信した顔をする


「おい1年坊主共残念だったな俺の勝ちだ」


だが俺は冷静に先輩に言う


「残念だったのはあんただよ先輩、詰みだ」


ルーレットが回りだす


「何だと?」


先輩が困惑した声で言う


「あんた、ここでわざと引き分ければイカサマじゃないと信じてもらえると本気で思ってたのか?」


俺は答え合わせのように先輩に問いかける


「甘いんだよ、あんたはここでイカサマを使って引き分けるべきではなかった」


緋呂斗に合図を送る


そうしてルーレットが止まる


「なぜって?俺達が勝つからだ思い通りに動いてくれてありがとな、先輩」


そこには赤の1に止まった銀色のボールがあった


「何、、だと」


先輩は口が開いたまま塞がらないようだった


「先輩俺達がどうやって勝ったか知りたいか?特別に教えてやるよ」


俺は小さい声で話し始める


「さあ答え合わせの時間だ」


〜5分前〜


「先輩がどんなイカサマをしているか分かった?緋呂斗、いっしー」


「まあ十中八九磁石を使ったイカサマだろうな」


だが緋呂斗が質問してくる


「だけどそんなのいつも使ってたら流石にバレませんか?」


「そこがこのイカサマの肝なんだよ」


「まず先輩のイカサマには先輩の心力が関わっていると見ていい」


俺は思考を巡らせる


「そして先輩の心力の正体だが多分物を作り出す心力と見て間違いないだろう」


「何でですか?」


緋呂斗が質問する


「まず零の1ターン目ボールはちゃんと弧を描いてルーレットの中に入っていった」


「ここまでは良かっただが問題は2ターン目だボールの軌道が1ターン目よりもすこし違っていた」


「それは分かったすけど軌道なんてどうやって変えるんすか?」


「ここで使うのが磁石だ」


緋呂斗は首を傾げる


「まず先輩は1ターン目のはじめに心力で磁石に引っ付くような材質のボールを作る」


「なるほどそれでちゃんと狙った軌道に入るってことっすね、じゃあ1ターン目と2ターン目の軌道が違った理由は何なんすか?」


「ああ1ターン目はうまく行ったが2ターン目に少し磁力の調整をミスったんだろう」


緋呂斗はポンッと手を叩く


「なるほど」


俺は頭をかく


「だけど俺にはここまでしか分からなかった、対処の仕方がわからないんだ」


そう話していると緋呂斗が手を挙げる


「俺ならできるかもしれません」


「俺の心力名は磁力操作マグネットっす」


「何だよぴったりの能力じゃねえか」


俺は歓喜する


だが緋呂斗は気まずそうな顔をする


「でも問題があって俺は磁力を操作するだけで生み出すことはできないんす」


なるほどタイミングが合わないと心力を発動しても意味ないということか


だが問題ない


「ならばここは俺の出番だ、さっきのゲームから磁力が発生するタイミングを解析する」


「俺が合図を出すからその時に心力を発動させてくれ」


緋呂斗が頷く


「はいっす」


〜現在〜


「どうだ先輩今の話はしっかり理解できたか?」


先輩は舌打ちをする


「先輩は始まる前から負けてたんだよ」


先輩はGPを渡そうとする


「ああ先輩覚えているか?このゲームのルール」


「は?何言ってやがる渡すGPはお前が掛けた分+俺が掛けた分だろ?」


俺は耳が聞こえないふりをする


「ちげーよこのゲームのルールその320


先輩のなにかが壊れる音がする


「なあ先輩あんたは終わりだよだから言っただろ1ターンで終わるって」


先輩は膝から崩れ落ちる


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


何度も何度も先輩は叫び続ける


まるで死が迫っているかのように


俺達はその叫び声を聞きながらギャンブル施設を後にした


その翌日創田武大は寮から姿を消していたという


〜1週間後〜


俺達は無事に150GPを集める課題をこなすことができた先輩から奪い取った2100GPで


「ふーなんとか課題合格したっすね」


緋呂斗が額を拭いながら言う


「いや余裕で合格だっての」


俺が緋呂斗に突っ込む


「にしても創田先輩寮から完全にいなくなっちゃったらしいね」


創田先輩は寮の部屋にSGバンドを残してどこかに消えてしまったらしい


「まあ原因は100%俺達のせいだろうな」


俺は自分に残されたGPを見ながら言う


いなくなった原因はイカサマしてたからなのか、GPが無くなったからなのかは生徒たちにも良く分かっていないらしい


「気に病むことないっすよ俺達は正しいことをしただけなんすよ」


緋呂斗がフォローする


「ありがと緋呂斗、俺は大丈夫だ」


ピロンッ


不意にSGバンドが鳴る


「な、何だ?」


メールが送られており


そこにはこう書かれていた


〜陣取りゲーム〜


生徒の皆さん課題お疲れ様です


突然ですが皆さん寮による対抗戦を行いたいと思います


その名も寮対抗・陣取りゲーム


・これに参加できるのは代表戦を勝ち抜いた全学年4人ずつで決まります


・学年はバラバラで対決します


・心力は使用OK


・フィールドは町中、森、海辺の中からランダムで決まります


詳しいことは明日の学校でまた説明します


「何だこれ、陣取りゲーム?」


俺がそう首を傾げると


「すっげー面白そうだよね!」


零がテンションバク上げで言う


「また次のゲームすか、もう疲れたっす」


緋呂斗が言うと零が


「何いってんのゲーム以外に楽しいことなんてある?ないでしょ」


「ははそうすっね」


緋呂斗は渇いた声で笑う


「でも代表戦ってなにするんだろーね」


零が首を傾げる


「まあ詳しいことは明日ちゃんと説明されんだろ」


俺はメールを見ながら言う


キーンコーンカーンコーン


「やべぇ授業始まる、早く行くぞ」


〜翌日〜


俺達は昨日のメールの説明として体育館に集められていた


校長先生が壇上で話し始める


「それでは昨日皆さんに送ったメールですが、今日説明するのは代表戦についてです」


代表戦か何をするんだろうな


「代表戦ではまず皆さんには4人グループを作っていただいたあと寮内で総当たり戦をしてもらいます」


「代表戦のゲームは自由ですが心力の使用はありです」


「それでは皆さん代表戦を勝ち抜けるようにがんばってください」


校長戦士の話が終わり、俺達は自分たちの教室に戻るところだった


「代表戦に出るのは俺達3人ともう1人でいいか?」


「それはオッケーすけどもうひとりのあては決まってるんですか?」


緋呂斗が首を傾げながら言う


「それは僕から説明させてもらうよ」


零が俺の後ろからひょこっと現れながら言う


「その人ってどこにいるんだ?」


俺が零に聞くと


「大丈夫大丈夫多分うちの寮にいるから」


うちの寮に零の知り合いがいるのかな?


「それってどんな人なんすか?」


「それはねあってからのお楽しみだよ」


「しかもみんな1回は会ってるよ」


俺は首を傾げる


なぜならこの学園に来てからは緋呂斗か零としか話していないからだ


「なんだろうこの胸騒ぎ」


悪寒がする


「奇遇すね俺もっす」


緋呂斗は身を震わせながら言う


「よしじゃあ寮に戻ろう!」


「「おー」」


俺と緋呂斗は嫌な予感がしながらも自分たちの寮に帰る


〜寮〜


「ここで待ち合わせのはずなんだけど」


零がスマホを見ながら言う


すると俺達の方に早歩きで歩いてくる生徒がいた


「何だ?」


「あーきたきた」


「あー零さま〜」


零様?


「こ、こいつもしかして創田先輩と戦っていたあの女子生徒か?」


「そうだよー」


零が答える


「何気やすく喋ってんだ?ただの人間のくせに」


急に女子生徒口調が代わり暴言マシーンになってしまった


「何なんすかあんた?急に失礼すよ?」


緋呂斗がちょっと強めに言う


「あんたこそ零様のなに?」


緋呂斗は威圧されているようだった


「さっきから聞いてるけど零様ってなんだ?」


俺が聞くと


そいつは快く答えてくれた


「零様はあの時助けてくれた王子様だから」


あのときってのは創田先輩のときか?


だったら


「多分それ助けたのは俺なんだけど、、、、」


「妄想癖?可哀想ね」


そいつは憐れんだ目で言ってきた


「いや助けたのは俺なんだって」


「そうだよ助けたのはいっしーだよ」


零が助太刀する


「じゃあ石田にグレードアップですわね」


「いやなんでだよ零みたいに下の名前で読んでくれよ」


「いやよ、だって石田が勝てたのは零様のおかげでしょ、絶対そうだわ」


「もうそれでいいよ」


俺は泣きながら言う


「ええと俺はどうなるんすか?」


緋呂斗が不安そうに聞くと


「じゃあ磁界にしましょう」


見下した声で言う


「ううー最悪っすこんな人とチームだなんて」


「なにか言いました?」


「いえ何も!」


まるで緋呂斗は蛇に睨まれた蛙だな


「はいはいもうとりあえずこの4人で出るでいいよね?」


零が手を叩きながら言う


「いやこの女が面白いか知りたい」


「ゲームをしようかお嬢さん」


俺が提案する


「いいですわ、あなたが私の従者になれるくらいの実力があるか調べてあげますわ」


そうして俺と女子生徒のゲームが始まった

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