交友
次の日、シュンは昨日見たものが信じられなかった。両親共に天才的な発明家であるのだし、あのシャルロットとかいう少女もどちらかが作った
でも、学校が終わって、自分の部屋に荷物を置いたあと、彼は例の扉の前に立っていた。少しだけ、シャルロットという少女の存在を信じたくなったからかもしれない。
ノックをすると、内側から扉が開いた。シャルロットである。
「来てくれたのね!シュン」
「昨日ぶりだね、シャルロット。」
シャルロットは花が咲くように笑った。
「ねえ、シュン。紅茶を入れたの。最近会ったことを聞かせてくれる?」
「ああ、今日学校で……」
シュンは最近あった面白い話やシャルロットが喜びそうな体験を話し始めた。シャルロットがとても喜んでくれたのが嬉しくて、彼は毎日話に行くようになった。
「やっぱり、体験談が一番ね!この部屋にある本なんてもう読み飽きたのよ。外に出たことなどないし」
そう喜んでくれるなら、いくらでも話しができる
しかし、気になることもいくつかある。
まず、シャルロットが外に出たことがないらしいこと。確かにやけに白い肌をしていたし、同じ家にいたのに気づかなかったのでどうりではあるが、それにしてもおかしい。普通十代半ばの少女が外に出たことないなどあり得ない。
もう一つはこの部屋がやけに暗いことだ。この部屋に日光が入る窓はなく、電灯もない。ただ一つ机の近くに蝋燭が一本あるだけだ。文字も読めないほどの重さだ。
でも、わかったこともいくつかある。
「でも小説もなかなかおもしろいのよ!私のおすすめはこれ!」
1つ目は、シャルロットがおしゃべりな少女ということ。本が好きなようで、結構古典的なものをよく読んでいた。
「この本はね、姉妹が助け合って成長していく話なの」
そう言って、シャルロットはページをめくる。革の高そうな本は父が買い揃えたんだろうか。
そう、二つ目は、彼女はこの暗い部屋に困らないほど夜目が効くという事だ。
しかし、シュンはそのことについて問い詰めようとは考えなかった。なんであろうが、シャルロットが外に出られないことには変わりがないし、この少し年上の少女を悲しませたくはなかった。
そんな関係のまま数週間が経った。シュンは毎日のようにシャルロットに会いに行き、二人は親友のような関係になった。
そんなある日、シャルロットはついでのように言った。綺麗に微笑んだまま。
「実はね、私、吸血鬼なの」
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