第3話 勇者兼業の冒険者になりました?
「冒険者ギルドってどういう事?」
「登録しておきなさい!嫌でも必要になることよ!」
ここは冒険者ギルドの受付、オレの隣にはキャッシーさんが居る。
「どういう事だ?」
「はいはい、ここに必要事項を書いて…。」
キャッシーに促されるまま、オレは冒険者登録を済ませた。
「…つまり、勇者っていうのは名義ばかりでメシのタネにはならないって事?」
オレは呆れた
「ええそうよ。
必要経費は自己負担、生殺与奪も自己責任、自由と引き換えの権利は何一つ得られない…。
ね、なかなかに面白い趣向でしょ?」
ウィンクするキャッシー。
「って事は、エモノを討伐したところで、見返りは無い…と?」
「エモノの解体、買い取りは冒険者ギルドでしか出来ないわ。
おまけに討伐報酬を支払う仕組みは冒険者ギルドしかありません。」
「結局は、冒険者だけが勇者の卵が選べる唯一の職業な
後頭部をかくオレ。
「そうね。
そういう事になるわね。」
肩を竦めるキャッシー。
『珍しいなぁ、お守り役がここまで流暢に喋るものかね。』
カウンターでの受付手続きを済ませたオレ達が、待合席に着くと18号も会話に絡んでくる。
「18号!私だって優しいお嬢様なのよ。
それに…。」
キャッシーがオレの顔を見る。
『一目惚れか?』
呆れ気味の18号の声に、コクリと頷くキャッシー…しかし、オレはこの一連のやり取りをあえて無視する。
「ところで、他の
キャッシー若干ぶんむくれ!
『KYだなぁ、イサオ…。
そういう奴は、今日からイッ君呼ばわりで確定だな!』
「異議ありませんわ!」
18号とキャッシーの結託により、オレの通り名は『イッ君』になった。
「…まぁ、それはいいんだけど。
他の
オレが再度問いかければ
「そうね、したりしなかったりじゃない?」
『ああ、
何を当たり前のことを聞いてくるのか?と言わんばかりの口調で応えてくれる18号とキャッシー。
しばしの沈黙を置いて
「それって、差別じゃないのか?」
オレが切り出せば
「ええそうよ、
『実際、彼らは王国が他国と戦争をおっ始めれば、兵士として招集されるからな。』
他人事のような口ぶりの18号。
「そう、
キラキラウィンクが眩しいキャッシー。
「ひょっとして、
「『ご明答!』」
声を合わせて18号とキャッシーが嫌味を言った。
「まぁ、そんなわけでイッ君と私は冒険者登録をしてパーティを組むわけ。
お分かり?」
キャッシーの説明に文句はあるが、もはやあとの祭りでどうにもならない。
「はぁ~。
分かりましたよ、今後ともヨロシクです。」
ぶっきらぼうにオレが答えれば
「末永く、お願い申し上げます。」
意味深な言葉を吐いて三つ指つきそうなキャッシーを慌てて抱きとめるオレだった。
『よっ!色男!』
一番KYなのは18号だとオレは思った。
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