第6話 トリサラ
夜のトリサラ、タイの高級リゾートホテル。プールサイドには美しいイルミネーションが灯り、セレブたちがシャンパンを片手に踊り狂っている。会場の片隅に立つ天城 蓮(天使)は、鋭い目で周囲を観察していた。彼の隣には、無造作に椅子に腰かけ、ユーロビートにリズムを合わせて指を鳴らす黒田 直人(悪魔)がいる。
「このリゾート、まるで天国みたいだが、裏では地獄の取引が行われてるってわけか」天使は低くつぶやく。
「お前の天使みたいな心には合わねぇな、蓮。だが、このパーティーは悪魔の俺には悪くねぇ」悪魔は笑みを浮かべる。
天使と悪魔は、ここで国際的な麻薬取引が行われているという情報をつかみ、潜入していた。しかし、彼らの目当てである「マルコ王子」は、まだ姿を現していない。
「気を抜くな、直人。あいつは一筋縄じゃいかない」天使が静かに言うと、悪魔は肩をすくめる。「わかってるさ、相棒」
ホテル内では、賑やかなパーティーが繰り広げられているが、天使と悪魔は宴会場の外に目を向ける。そこで、日本人観光客が落語を披露している一角があった。
「おい、蓮。ちょっと寄ってみるか?」悪魔が目を輝かせて言う。
二人は落語の会場に足を踏み入れる。落語家は「寿限無」の話を軽妙に語りながら、客を笑わせていた。その傍らには、細身の日本人が怪しげに立っている。彼が落語の後、こっそりと天使に近づいてきた。
「アンタたち、日本から来たのか?ここの裏側に興味があるなら、話したいことがあるんだ」その日本人は、何か重要な情報を持っているようだった。
天使と悪魔は、落語家を装った彼が組織の一員であることを悟り、聞き出すために会話を続ける。そこで、彼は組織の秘密の一端を漏らした。トリサラのパーティーは、ユーロビートのビートに乗せた暗号が飛び交う、取引の現場だったのだ。
「なるほどな、暗号が音楽に紛れてるってわけか。音楽に踊らされてたのは、俺たちだけじゃねぇみたいだ」悪魔はニヤリと笑う。
天使と悪魔は、得た情報を元にトリサラを後にし、ゴリラ沼と呼ばれる危険なジャングルに向かう。そこは、マルコ王子の密かな取引の拠点であり、犯罪者たちの最後の砦だった。
「この沼地で待ち伏せるのが王子の作戦か」天使は静かに言う。
「俺たちを待ち伏せするだと?逆にやってやろうぜ、蓮」悪魔が不敵な笑みを浮かべる。
二人は沼地の奥深くへと進んでいく。ジャングルの中では、麻薬組織の部下たちが次々と襲いかかってくる。銃声と爆発音が響き渡る中、天使と悪魔は自作の武器を駆使して敵を倒していく。
「直人、このまま突っ切るぞ!」天使が叫ぶと、悪魔は笑いながら応える。「任せとけ、天使さま!」
ゴリラ沼の戦いは激しさを増していく。最後に待ち構えるのは、マルコ王子その人だった。彼は高笑いしながら天使と悪魔を迎え撃つ。
「よくここまで来たな、だが、ここがお前たちの墓場だ」マルコ王子が冷たい声で言う。
「そう簡単には終わらせねぇよ、マルコ王子。クソだらけの人生でも、俺たちはまだ生きてる」天使が銃を構え、悪魔がナイフを手にする。
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#### **クライマックス: ウコンの秘密とジャンジャン横丁**
ゴリラ沼での戦いを終え、辛くもマルコ王子を倒した二人は、日本に戻る。帰国後、大阪のジャンジャン横丁で再び組織の動きを感じ取る。ここでは、違法薬物の取引が行われており、その背後にはウコンの成分が密かに組み込まれていることが判明する。
「ウコンの力か。意外なところに鍵があったな」天使は感心しながらつぶやく。
「これで連中を一網打尽にしてやろうぜ」悪魔がウコンの瓶を手に取り、笑みを浮かべる。
ジャンジャン横丁での最後の決戦。天使と悪魔は、またもや街を救うために立ち上がる。拳と銃弾が飛び交う中、二人の絆が再び試される。
最終的に、ウコンの成分が組織を崩壊させる決定打となり、街に一時の平和が戻る。しかし、腐敗の根は深く、二人の戦いは終わらない。
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#### **エピローグ: 未来への誓い**
夜のジャンジャン横丁を見渡しながら、天使と悪魔は疲れた顔を見せるが、その目にはまだ決意が宿っている。
「どんなにクソだらけの街でも、俺たちは諦めねぇ」天使が言う。
「そうだな、蓮。俺たちが生きてる限り、この街もまだ捨てたもんじゃねぇ」悪魔が応える。
二人は歩き出し、暗い街の中へと消えていく。その背中が夜の闇に溶け込むように遠ざかる中、エンドクレジットが流れ始める。
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