第2章 30話 シーファウの水色の瞳①
「あ、あの、シーファウ王子。そうじゃなくて。今度は腕が動かない呪いなんです。ずっと動きません」
「え? なんでだろうね」
シーファウの言いようは冷たい。涙が出そうになった。
「え? アイリーナ。本気で悲しいの? さっきの話、本当なの?」
シーファウはそっとアイリーナのとなりにすわり、背中を撫でる。
「わるかったよ。きっと呪いだよね。……脚に呪いが?」
シーファウは自分のペンダントを外す。アイリーナの首に掛けた。
「これは封じを強化する霊石だよ。どう? 脚は動く?」
アイリーナはゆっくり脚に力を入れる。ふしぎなくらいにすぐ、脚は動くようになった。
だが、涙がぽろぽろこぼれた。
シーファウはアイリーナを覗き込む。透きとおった水色の瞳がきれいだ。
思わず、アイリーナはシーファウの袖をつかんだ。
シーファウが優しく手を重ねる。
「ねえ、アイリーナ。呪いが強くなるなんて心配だよ。もう少し離宮に逗まらない?」
シーファウのきれいで優しい水色の瞳が、心でいっぱいになる。体の芯が温かくなった。
シーファウ王子は、どうしてこんなに人を惹きつけるんだろう。
鼓動が早くなった。アイリーナはぎゅっと目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます