第2章 29話 降ってきた黒曜石の光②

 呆然と石畳に両手をついたとき、階段のほうで足音がした。


「お待たせ、アイ」


 シーファウはへたり込んでいるアイリーナに、顔を強張らせる。


「どうしたの?」


 すばやく駆け寄った。


「呪いの光が現れて。目じゃなくて、あ、脚が動きません」


「脚? なにいってんの?」


 シーファウはアイリーナの前の木を行き来するリスで視線を止めた。


「ああ、リスにエサをあげたいけど、リスが逃げるから、脚が動かせないってこと?」


 違いますよっっ。


 なにを誤解したのか、シーファウはくすりとわらう。


「仕方ないなあ。じゃあ、俺が手伝ってあげるよ」


 シーファウはアイリーナの手の平を上向かせ、そこに木の実を乗せる。


 リスがエサ台からアイリーナの手に飛び乗り、どんぐりを食べ始めた。


 そんな場合じゃないのに、きゅうんと胸が高鳴る。


「うれしいの? アイリーナ。じゃあ、もうひとつ」


 シーファウはぼんぼん、木の実を置く。リスが何匹か集まってきて、ぼんぼん食べる。

 きゅんきゅんだった。

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