第2章 27話 急な使者②

 シーファウたちはなかなかもどって来なかった。

急に静まり返った展望台はなんだか寂しい。


 アイリーナは頬杖をついてエサ台を見ていた。

リスが来る気配はない。


 暇を持て余したアイリーナは、エサ台に木の実を置いた。リスは来ない。

 根気よく、一粒ずつ置いてみた。何度もそれを繰り返す。


 かなり時間が経ったが、リスは来ない。シーファウたちも来ない。


 使者への対応は、思った以上に時間がかかっているようだった。

 どんな要件なんだろう。


「うまく行かないね、みかん」


 アイリーナは、ゆっくり立ちあがった。


 階段から下の階のを覗く。


 屋敷と繋がっている扉は閉ざされている。そっとドアを開けたが、物音は聞こえない。


 アイリーナは展望台にもどった。。そのとき、枝の上をなにかが走るのが見えた。


 一匹のリスがエサ台に飛び移る。


 しばらくすると、もう一匹来た。二匹は両手でどんぐりを持ち、カリカリかじる。


 かわいーっ。


 叫びたいのを堪えて、アイリーナはじっとしていた。

 やがて、別のリスが来る。

 エサ台の下でこぼれた木の実を食べ始めた。


 ……手であげたい。


 アイリーナは木皿のどんぐりを取ろうとする。取ろうとして、体が強張った。


 ふいに、黒曜石に似た色の光が降ってきたからだ。あの、呪いの光だった。

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