第2章 24話 聖獣の夢と呪い①

「そうだ。かわいいお姫さまに献上品を……」


 黙ってリスを待っていたシーファウだったが、急に立ち上がった。


 ポケットを探って、包みを出す。開けると、甘い香りがした。クッキーだった。


 嗅ぎつけたみかんが、思い切り身を乗り出した。


「かわいいお姫さまには、リスたちより先に献上しなければいけなかったよね。非礼を詫びるよ」


 みかんはぎゅうっと前足に力を入れて踏ん張り、クッキーをパクついた。

 ふくらんだ頬がかわいい。アイリーナはデレデレになった。


「ありがとうございます、シーファウ王子」


 シーファウは微笑む。


 もっと、とねだるみかんを、体にわるいからとたしなめた。


 アイリーナたちはまたリスを待つ。


 穏やかな時間が流れる中、聖獣の森を見ていたアイリーナは、シーファウに視線をもどした。


 思い出したことがあったのだ。


「あの、シーファウ王子。わたし、昨日の話の続きが聞きたかったんです」


「え? なんだっけ?」


「わたしに呪いが移った朝のことです。シーファウ王子があの森にいたのは、聖獣さまの夢のお告げだって」


 ずっと気になっていた。

 呪いの移動に聖獣さまが関わっているとは思わなかった。

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