第2章 23話 展望台に来る動物たち①
展望台では、風はさっきより強く感じた。
ざわざわと葉ずれの音が心地よい。異世界の空気は澄んでいる。
深い緑の香りがした。
「あれを見て、アイ」
揺れた枝の向こうに、なにか木工細工のようなものが見えた。
展望台の手すりの近くだ。
「あれはなんですか?」
「リスや小鳥のためのエサ台だよ」
リス、小鳥っ。
アイリーナは目をみはった。
「食べに来るんですか? すごいですっ」
「うん。いつも餌付けしているからね」
小さな小屋形のエサ台で、地面に立てられた棒に取り付けられていた。
サフがテーブルの上から、小箱をとった。中にはどんぐりや向日葵の種、いろいろな木の実が入っていた。
サフはザラザラと、エサ台に木の実を置いた。
「アイ、聖獣の森のほうを見て」
森のほうでなにかが動いた。リスのようだ。リスは離宮の庭木に飛び移り、手すりまで登ってくる。
それでも、すぐに警戒は解かないのだろう。エサ台に近づいたり離れたりしていた。
「静かにして、少し待てば来るよ。運がいいと、手から食べてもくれる」
アイリーナは息をころしてリスを見守った、
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