第2章 22話 もう一度、展望台へ③

「不運っていつ起きるか分からないよね。俺が護ってあげるからね」


 いつ起きるって……。今のはシーファウが右と左を間違えたからなのに。


 そして、あれはわざとなんじゃ?


 しっかりしているシーファウが、左右を間違えるわけはないのだ。


 それに幸せって。


 まさか、わざと間違えて、『護り』たかったんじゃ?


 シーファウはまだアイリーナを支えたままだ。みかんも呼び、みかんの背中も撫でる。


 きれいな水色の瞳が、澄んだ色に煌めく。


 ご満悦の笑顔だった。


 どこからか、ガザッと葉ずれの音がした。風の音ではない。


 見ると、階段の手すりをなにかが駆けていた。小動物のようだ。


「あっ、リス」


 アイリーナは思わず笑顔になる。リスは手すりから木に飛び乗って、姿を隠した。


「アイは動物ご好きだね」

 シーファウは更に微笑む。


「いいものを見せてあげるよ」


 いって、アイリーナの腕を引いた。

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