第2章 21話 もう一度、展望台へ②

 アイリーナたちは、昨日と同じように展望台への階段を上る。緑の空気は、朝だから冷えて心地よい。


「アイ、左腕が木の枝とぶつかりそうだよ。気をつけて」


 え?


 アイリーナは左下に視線を落とす。だが、そのとき、右足がなにかに引っかかった。木の枝だ。

 アイリーナはバランスを崩す。


 転ぶ、と思ったが、シーファウの腕にしっかり支えられた。


「ごめん。左腕と右足を間違えた」


 間違えた? 足と腕を?


 シーファウはやけにうれしそうにしている。


「アイリーナが無事でよかった」


 ねえ、アイリーナ……。金の髪を揺らして、シーファウがささやく。


「誰かを護るって、本当に幸せなんだね」


 護る? また、あの冗談だ。


 彼からこのセリフを聞くのは何度目だろう。

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