第2章 16話 シーファウの歪んだ幸せ①

「ねえ、アイリーナさま」


「なんでしょう」


「アイリーナさまも、シーファウ王子のいいところを見つけてあげてくださいね」


 いいところ……。


 聖獣のことを話すシーファウ王子は、聡くて、聖職者みたいにきれいに見えた。闇属性だった今までの彼をあまり感じない。


 もしかして、深窓の王子さまな彼が、彼の本当の姿なんだろうか。


 だったら助かるけど。


「王子は貴女を離宮にあげたでしょう? もしかして、貴女を気に入っているのではないかと思うんです」


「わたしを?」


「難しい方ですか、分かっていただくとうれしいです」


「アーイ」


 階段のほうで声がした。


 シーファウがにこにこ顔でやってくる。ナプキンに包んであるお菓子らしきものを抱えていた。

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