第2章 10話 聖獣の森の展望台②
「それが集まって、川ができている」
森から出てきた川が、城のほうに向かってきていた。
川は城の南から西に流れ、草原を横切っていく。
「あの森から出てくる川の水は世界一澄んでいるんだよ。なぜだか分かる?」
「化学物質の汚染がないからですか?」
「聖獣さまがいるからだよ、角で水を浄化してくれるからなんだ。おかげで、人も森に住む動物たちも、健やかに生きていける」
「ああ、聖獣さまは一角獣なんですよね」
「なにより、森の植物たちが生き生きとしている。きっと聖獣の森の木々は、世界一美しいんだ」
森から流れてくる水の色は青緑だった。
鏡のように木々や草花の緑を映し、流れていくのだ。澄んだ水面に映る森は、水面の光の反射で輝いて見える。よく見ると、本当の森よりも少しだけきれいだ。
下流になって、色は水色に変わる。天然石のように底まで透きとおった青だった。
「あの森、行ってみたいけど、人は入ったらいけないんですよね」
「うん。残念だけど、きっとそのほうがいいんだよ」
「分かります。人が入らないから、あんなに森がきれいなんです」」
「森には入れないけど、いつかは聖獣さまに会えるかもしれないよ。聖獣さまが、外から見える場所にきてくれれば。俺もね、小川の辺りから聖獣さまを見たんだ。聖獣さまは俺を見護るように、森に立っていた」
シーファウはまた森に向き直る。敬うような目をしていると感じた。
シーファウは森に向かって一礼した。
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