第2章 4話 シーファウの喜び②

「あの、明日でわたしの離宮生活も終わりですね」


 離宮で過ごすのは三日という約束。明日が三日目だ。


「レンバード兄さまと、サフさんの交渉はどうなっていますか?」


「そうか、もう明日で終わりか」


「わたしの呪いを解く方法は捜してくれてないんですか?」


 シーファウは質問に答えない。ふいに羽ペンを置くと立ちあがった。


「そんなことより、離宮生活を楽しもうか。嫌な思い出ばかり残したくないからね」


 楽しむ……。なんで急に。


「アイは獣医志望なんだってね。生物関係の公務は、俺の担当なんだよ」


 そう、獣医の資格も彼の承認がいる。


「離宮の奥の森には聖獣の森があってね、そこの管理も俺の担当。動物を保護する場所もあるんだよ」


 聖獣の森……。


 実はすごく見たかった。アイリーナにとっては神秘の森だ。みかんと一緒に是非見たい。


「あとて見物に行ってみる?」


「外に出ていいんですか?」


 アイリーナはつい詰め寄る


 シーファウはくすくすわらった。


「残念だけど、離宮の展望台からだよ。俺だって俺なりに、ここでアイリーナが幸せに過ごす方法を考えていたんだよ、」


「……」


 初めて優しい言葉をもらった。

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