第1章 19話 闇の呪いと闇の王子①

 それに……。


 アイリーナはちらっとシーファウに視線を向ける。

 目が合うと、彼は優美に微笑んだ。なんだか上機嫌だ。呪いから解放されたからだろうか。


 それでも、アイリーナにはからかうような態度を取る。

 

「君はやっぱり、俺と来たほうがいいよ。俺の離宮には呪いが効力を失う術がかけてあるんだよ」


「その術をこの屋敷にもかけてくれませんか?」


「秘術だから無理だよ。君みたいな無礼者に、そこまでするほど俺は優しくもない」


 彼は優美に微笑む。だが、瞳の奥に底意地のわるさを感じた。


 それに、これが憧れの深窓の王子?


 思っていたのと全然違う。


 純粋で優しい王子はどこ?!

 本当にこの歪んだ王子が、聖獣に愛されている?


 闇の呪いと闇の王子。


 二重のショックで口もきけない。

 くらくら目まいがした。

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