第1章 18話 本当に呪われた①

 きらきらと黒曜石に似た光が降る。


 みかんにおやつをあげていたアイリーナは、まずいと思い身構える。


 安全な場所でやり過ごそうと、ソファを目指すが遅かった。途中で目が見えなくなる。


 アイリーナはみかんを抱っこしたまま、床にへたり込んだ。


「あーあ。何度も忠告したのに」


 そんな声がした。シーファウ王子だ。


「呪いは意外と危険だよ。じっとしていたほうがいい」


 しばらくして、目に光がもどる。


 最初に見えたのは、応接の間のソファでアイリーナを見下ろしているシーファウだ、

 ソファにゆったりとすわって、かすかな笑みを浮かべている。

 アイリーナを、見物するように眺めていた。


 ……本当になにも見えなくなる呪いなんだ。真っ暗だった。


 夜の闇とも全然違う。夜は例え星や月がなくても、かすかに物が見える。


 だが、呪いの闇は本当に真っ暗闇だ。身震いがした。


 わたしは本当に呪われた。なんでこんなことに……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る