第1章 15話 豹変した少年②

「本当いうとね、君は秘密を知ったから、監視させてもらうんだ。でも、君に従者をつけるなんて手間のかかることはしない。面倒くさいから。お互いに面倒は嫌だよね?」


 彼は面倒くさいの部分を強調する。さっきのアイリーナの言葉を根に持っているらしい。


 従者……、この人、従者がいる身分?


「アイリーナ、どうしたっ」


 ふいに背後で枝葉をかき分ける音がした。レンバードだった。


 レンバードの姿を見た少年は、ちらっとアイリーナに視線を送る。


 ……分かってるよね? 呪いのことは口外禁止だよ。


 レンバードに聞こえないようにつぶやいた。


 レンバードが血相を変えてアイリーナの前に立った。


「そんな悲しい目をして。なにがあった? お前、誰だ。妹になにをした」


 レンバードは少年を睨みつける。


「別になにも」


「で、誰だよ」


 レンバードが彼に詰め寄ったとき、背後の木陰から人の話し声がした。

 近衛の制服を着た青年がいた。


 青年のとなりには仕立てのいい服を着た少年がいる。少年はアイリーナたちに気づく。目を見開き、探るようにアイリーナたちを見る。


 近衛にテキパキとなにかを話した。近衛は一礼をし、町へと続く道を駆け出した。


 レンバードと同じ年くらいの少年だった。


 薄い色の短めの髪には、軽くウェーブがかかっている。ずいぶん利発そうで、隙のない表情をしている。


 着ている物は飾り気がなく、色はグレーだ。

 華やかな外見には似合わない服だった。


 

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