第1章 12話 みかんとずっと一緒①

「あっ」


 アイリーナな声をあげた。呪いに驚きすぎて、大事なことを忘れていた。


「みかん、ちょっといい?」


 アイリーナはみかんを地面に立たせ、みかんの目に手をかざす。さっきと同じ、健康診断だ。

 霊力で探るが、みかんの目に異常はない。


 呪いはみかんには移っていない。


「なにしてるの? 君」


 シーファウが興味深そうにアイリーナを覗き込む。


「よかったー」


 アイリーナは大きく息をついた。

 ……これからも、みかんが健康に育ちますように。

 空を見上げ、天に向かってかしわ手を打った。


「なにしてるの? 君」

 シーファウがもの珍しそうにアイリーナを覗き込む。


「わんこの目に手を当てて、それから、空に向かって拍手? 本当、なにそれ」


 拍手って……。


 アイリーナは言葉に詰まった。うっかり前世での儀礼をしてしまった。かしわ手を異世界の人にどうやって説明したらいいんだろう。

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