第1章 11話 移動した光①

「体調はどう? どこか痛かったり、気分がわるかったりする?」


 ふいに、少年は表情を変えた。まるで夢から現実にもどってきたようだ。


 少年は心配気にアイリーナに向き直る。


「いえ、だいじょうぶです」


「フォローはさせてもらうよ。完璧にってわけにはいなかいけど」


 フォロー?


「あの、この光なんですか?」


「俺の呪いが君に移ったんだよ。この状況を見れば分かるだろ」


 の、呪い?

 意味が分からない。


 アイリーナはぼんやりと少年を見た。


「呪い? まさか」


「うそじゃないよ。残念だけど。とりあえず、俺と来てくれる?」


 今から?

 この人とどこに?


「あの、でも早く帰らないと。……それに、近くに王族がいるみたいなんです。王族って面倒くさいから、会わないほうがいいんですよ」


「面倒くさい、なんで?」


 少年は眉をあげる。


「さあ。礼儀にうるさいからでしょうか。あと、わがままだから嫌てすよね。一部の王族のことだろうけど、怒らせたら怖いし」


「そうなんだね」


 なぜか、急に彼の声音が冷たくなった気がした。

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