第1章 8話 黒曜石の光が降る②

 アイリーナは小走りに南に向かう。


 だが、黒曜石に似た光はすぐに消えてしまった。鳥の居場所も分からない。。


 アイリーナは目を凝らす。光が消えた場合で、ふわっと糸のようなものが舞っていた。 


 光に透けて、ガラスのようなきれいな糸だ。


 よく見ると、誰かの髪のようだった。枝葉の向こうなので見えにくいが、長い金の髪の誰かいる。


 金の髪の人物は、体勢を崩して地面に手をついていた。アイリーナの足音で、彼は振り返る。


 アイリーナより少し年上に見える少年だった。


 彼の瞳は奥底まで透きとおるような、きれいな水色だった。

 その姿は、まるで淡い陽射しのように優しい。


 アイリーナは時間が止まったように感じた。

 こんなきれいな人は見たことがなかった。まるで精霊だ。


 透きとおるような水色の瞳は、なにも捉えずさまよっている。

 なんだか、少し様子が変だ。


 この人、目が見えてない?


「あの、だいじょうぶですか?」


 声をかけると、少年はスッと表情を消した。

 手探りで立ち上がり、何事もなかった顔をして微笑む。


「……ああ、地面にすわっていたからですか?」


 やわらかく微笑む。そんなかすかな笑顔も、光を秘めたようにまぶしかった。

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