第1章 7話 黒曜石の光が降る①

「ねえ、レン兄さま。」


 森の奥でなにが光っていた。砕いた黒曜石のようなふしぎな光だ。


「な、なんか黒い光が見えたよ」


「黒いって、なんだよ、それ」


「西のほうだよ」

 レンバードは眉をひそめる。アイリーナの視線を追ったが、すぐにまた歩き出した。


「正体の分からないものには近づかない。帰ろう」


 ふいに、みかんが足をばたつかせた。


 みかんの視線の先には、枝に止まった小鳥がいた。黒い光が現れた近くだ。


「兄さま。みかんが鳥が心配だっていってる。逃がしてくるよ」


「アイリーナはだめだ。俺がいってくるから」


「じゃあ、一緒に行こうよ」


 アイリーナはレンバードの後ろから、森の中を進む。もう少しで光の場所というどころで、アイリーナはぴたっと足を止めた。


 今度は南の方向で光が見えたからだ。近くで鳥のさえずりが聞こえる。


「兄さまは西をお願い。わたしは南を見てくるね」


「危ないよ。だめだよ、アイ」


 背中から、レンバードの焦った声がする。


「すぐもどるから待ってて」


 アイリーナは足を早めた。

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