第21話《あなたの一部をいただきます。》

※※※これは△△△テレビ局の夏の特別番組『恐怖の心霊動画総編集』にて紹介されたが、あまりの凄惨な描写にて途中で放送を中断せざるを得なかった、恐怖の心霊動画をご紹介します。

――心臓の弱い方や体調の悪い方はこの動画を見てはなりません。※※※

※※※もし途中で気分が悪くなられた場合はこの動画を削除することをおすすめします。

――これらの条件を全てクリアした場合のみご視聴いただけます。※※※


(これの動画もみてみるか。さっきの動画と似たような内容なのかもしれないし。)


Fさんはこの動画を視聴することに決めた。

彼は動画をクリックすると映像が流れ始めた。


(今度は一体なんの映像が流れるんだろうな…)


汗の滲む恐怖と好奇心に満ちたFさんはこの動画の視聴を開始した。


※※※※※


東京都中央区〇〇大学付近の喫茶店△△△にて5人の大学生がわいわいとで盛り上がっている。

その内容は…。

「ねぇ、知ってる?最近また噂になってるんだよ、『怪人アンサー』ってやつがさ。」

講義後の喫茶店で、里奈が興味深げに話を切り出す。彼女はスマホの画面を見せながら、その都市伝説について語り始めた。


「怪人アンサー?なんか、前に聞いたことあるかも。でも、それって昔のネタだろ?」

大輝は少し鼻で笑いながら、カフェラテを一口飲む。


「いや、これがね、最近また2ちゃんとかで騒がれてるんだよ。掲示板とかに、変な質問が突然送られてきて、それに答えちゃうと体の一部がなくなるって。」

里奈は真剣な表情で続ける。


「ハッ、そんなわけないだろ!ネットの話なんて、ほとんど嘘じゃん。どこかの暇人が作った話だろ。」

翔太が肩をすくめて笑いながら、スマホをいじり始める。


「そんなこと言わないでよ。それに、本当に投稿してた人たち、次々に失踪してるって話なんだよ。単なるデマかと思ってたけどここ数ヶ月でかなりの数の証言が出てきてるんだって。」

里奈はさらに食い下がるように話す。その話を聞いた瞬間、彼女の言葉に軽い寒気を感じた。


「失踪か…。まぁ、都市伝説にありがちな展開だけど…でも、ちょっと面白いかもな。調べてみる価値はあるかも?」

大輝が興味を示すと、他のメンバーも次第にその話に引き込まれていった。


「ねえねえ、じゃあ、試してみる?怪人アンサーが本当にいるか、掲示板に書き込んでみようよ。私、怖い話大好きなんだよね!」

笑いながら話すのは、翔太の隣に座っていた愛美だ。彼女はこういった都市伝説に対して、いつも軽いノリで接するタイプだった。


「おいおい、愛美。冗談でもそういうことするのは、ちょっとやめとけよ。万が一でも何かあったら嫌だし。」

翔太は苦笑しながら愛美を止めようとするが、彼女はすでに掲示板にログインし、スレッドに書き込みを始めていた。


「ねぇ、怪人アンサーって本当にいるの?答えてくれるなら、ちょっと質問してみたいんだけど。」

愛美がキーボードを打ちながら、笑い声を漏らす。


「おい、本気でやるつもりかよ!」

翔太は驚いた表情を浮かべたが、他のメンバーはそのやりとりを面白そうに見守っている。


「うわ、本当に返事がきた!」

突然、愛美が驚いた声を上げた。掲示板の画面に、一つの短いレスポンスが表示されたのだ。


「何だって?」

大輝が画面に目を向ける。そこにはただ一言、「質問に答えよう」とだけ書かれていた。


「うわ、何これ!ウケる、めっちゃリアクション早いじゃん!じゃあ、次は…どうしようかな…えーっと、今、私たちに興味を持ってる?」

愛美がさらに続けて書き込むと、またすぐに返信が来た。「はい、今、あなたたちを見ています」と。


「えっ?」

その返信を見た瞬間、全員が無言になった。冗談のつもりだった愛美も、一瞬動きを止めた。


「なんだよこれ…冗談にしてはリアルすぎないか?」

大輝は怪訝そうな顔をする。冗談だと思っていたが、少し背筋に冷たいものが走った。


「…誰か、私たちのことを見てるって?」

里奈が不安げな声を漏らす。周りを見回しても、誰かが彼らを見ている様子はない。


「まぁ、偶然だろ?ネットには変な奴がいっぱいいるんだし。」

翔太が再び笑いながら話すが、その笑いにはどこかぎこちなさが残っていた。


「そうだよね、きっと。こんなのただの悪戯でしょ…?」

愛美も半笑いで画面を閉じようとする。しかし、次の瞬間、彼女のスマホに通知が入った。


「えっ…なんで…?」

愛美は動揺した顔でスマホを見つめる。通知には「怪人アンサーが答えました」と書かれていた。


「どういうこと…?掲示板で通知なんか来るわけないのに。」

愛美は震えた手でスマホを確認する。さらにその下には「次の質問に答えてください」というメッセージが表示されていた。


「まさか…」

誰かが口を開く暇もなく、突然、店内の照明がチカチカと不気味に点滅し始めた。店内にいる客たちが一斉にスマホを取り出し、騒ぎ始める。


「何か…おかしいよね。」

大輝は冷や汗をかきながら、周囲の異変に気づき始めた。その瞬間、彼のスマホにも通知が届く。画面には「次はあなたの番です。」と表示されていた。


――真っ黒になった画面の中で。








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