第14話《動く屏風絵④》
だが、誰も彼女の叫び声に答えない。周りでは寺の壁が※※ズズズ…ギギギ…※※と不気味に揺れ動き、まるで全体が生きているかのように脈動していた。
一瞬の静寂が訪れ、彼らはその隙をついて逃げようと試みる。しかしその瞬間、侍の首が不意に動き出し、彼らの背後から無情にも迫りくる。
C:「くそっなんで、なんでなんだ!もう、これ以上は無理だ…!」
その言葉が終わる前に刀が※※シュッ…※※と空気を切り裂き、Cの背中に深々と突き刺さった。
ゴフッ…!ポタポタ…
彼の体は宙を舞い、地面に倒れ込むと同時に血が吹き出し、その場に広がっていく。
Aは激しく嘔吐をする。
A:「お願い…もうこれ以上は止めて…何もかも終わって…!」
彼女の体は限界を迎えていた。恐怖で身体が動かなくなり、足がすくんでしまっている。
侍の首はじわじわとAに近付き口元を動かし始めた。
その口から漏れ出したのはまるで怨念が凝縮されたかのような囁きだった。
侍の首:「我が怒りを受けてみよ…!」
その声が響くと同時に、彼女の体はまるで見えない力に引き寄せられるように倒れ込んだ。
侍の首は冷たく、無表情な目で彼女を見つめ続けている。
Aは泣き叫ぶが侍の首はさらに彼女に近付きそのまま首を跳ねたのだった。
◆◆◇◇◆◆
静寂が戻り、寺は何事もなかったかのように静まり返っていた。
だがその空間には依然として怨念の残滓が漂っている。
数日後、彼らが消えた場所にはまるで血みどろの後だけが残されていた。
――そしてテレビ局ではその日の放送事故として封印されることになる。
誰もその映像を見ることはできなかったが、一部の関係者によって噂が広がる。
あの日、なにかが本当に動き出したのだと。
ある日アナウンサーAの机の上に、侍の生首の絵が置かれているのが発見されたという。
絵の中の侍は不気味に微笑んでいたという話だ。
それ以来、誰もその場所に足を踏み入れることはなかった。
……いや、踏み入れてはならない場所となったのだった。
そして時折耳にする囁き声が今でもその場所で彼らの最後の瞬間を語っているのかもしれない。
―――ここで4つ目の動画は終了した。
だが動画を視聴していたFさんは異様な寒気を一瞬だけ感じたという。
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