第13話《動く屏風③》
侍の首が宙を舞い、全員にじわじわと近付いてくきた。気温はさらに冷え込み、寺の中はまるで霧の中にいるかのように視界がぼやけていた。背後では木々がざわめき、何かが囁いているかのような気味の悪い音が響いている。
A(必死に後退しながら):「これ…何かが来ます…!その…恐らくは私たちを狙っているのかもしれません…!」
C(怯えた声で):「おいやばいって!私を本気で殺そうと…頼むから夢で欲しい…!」
B教授(震える声で):「私たちはあの屏風絵に閉じ込められていた侍の怨念を解き放ってしまったようだ。ここから逃れるにはあの侍の怒りを鎮めるしかない…しかしどうやって…?」
その時、屏風絵に描かれていた侍の刀がカタカタと音を立て、絵の中から浮かび上がり始める。鋭い刃が光を反射し、冷たく光ながら宙に舞い上がる。侍の首とともに絵の中から抜け出した刀は無情にも彼らの方へと向かって飛んでくる。
ギシ…ギシリ…ギギギ…
刀の音が聞こえて全員がその場で硬直する。血の気を引くような冷たさが広がり、全員が言葉を失った。ほんの数秒の沈黙が続いた後、Aが叫び声を上げた。
A:「こっちに来ます…!皆さん逃げてください!!」
だがその瞬間、刀がシュッという音に空を切り裂き、B教授の近くの木に刺さる。全員が驚のあまり身体を震わせた。背筋を凍らせるような思わずガクガクと震える寒気がまるで彼らの命を狙っているように感じられる。Cは思わず泣き叫ぶ。
C:これは一体何なんだ!俺たちはどうしたらいいんだ!無理に決まっている…!」
全員が恐怖で動けなくなっていた。寺の中はいつの間にか血まみれたような異様な風景に変わっていた。床にはまるで無数の血痕が広がり、赤黒く染まった壁が鈍く光っている。空気には鉄錆びたような臭いが漂い、彼らの恐怖をさらに煽る。
A(息を詰まらせながら):「何が…何が起きているのでしょうか…?」
その時、Dが再び苦しみ出しました。彼は突然、喉を押さえて倒れ込んで血をぽとぽと吐き出す。彼の体は異様なほど震え、目は焦点が合っていない。
B教授は青ざめた表情をしている。
B教授(絶望的な声で):「彼は…呪いに触れてしまったのだ。屏風絵に閉じ込められた怨念が彼の体を蝕んでいる…!」
Aは何とか彼を助けようと近付くが彼の足元に血まみれの手が現れた。どこからともなくまるで地面から湧き出たように冷たい手が彼女の足首をがしっと強く掴む。Aは辛うじて残っていた冷静さを失い、泣き叫んだ。
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