第七章
第15話 ストレンジャーズ
五人の
先頭を行く剛腕の女が、ともに先頭を行く銀毛の男に呼びかけました。
「ねぇ、アトロゥのやつ、あんなガタイよかったっけ?」
銀毛の男は、相変わらずの薄ら笑いで答えました。
「さぁ? 野郎の体になんぞ、興味ねぇよ」
三番手を行く黒
そして、しんがりの人面鉄槌の女は歩みを止め、ひとりつぶやき始めました。
「……ん、もぅ。ダーリンったら、お顔に
ダーリンこと人面鉄球を、手近の葉っぱでなで回し、息を「ほー……」――ふたたび磨きこすって「ほー……」――何度かくり返すと、鉄球は景色を映ずるほどに輝きました。
女は鉄球に映りこむ自身を、顔をすまして見つめかえしました。しばし見ほれていると、帽子のつばのふちから、ニョキリと斧が生え――女は猛然とふり向き、襲撃に備え、鉄槌を横手に掲げました。
したたか打ちあって、三つの音を共鳴し響かせました――斧の
折れた鉄槌の女は
「……
「あんたのナイフ、使っちゃうよーっと……」
そんな様子を、木々をはさんで、うかがう者がありました。身の
大剣の
***
「……接ぎ木って知ってるか? 木をチョン切ってな、別の木を挿しこむと、ひっついてひとつの木になるのさ……」
アトロゥは、もはや意識切れぎれのパックに顔をよせ、自身を
「……さすがに同族は、首なじみがいいぜ。しかしこの体じゃあ、樹の力は使えねぇ。俺の種から育った、代用が必要なんだよ……」
アトロゥは自身の首をなでつつ、短剣を構えました。
短剣は、木彫りの飾り物のようでした。ほどこされた
アトロゥは何に対してか、名残惜しむような口ぶりで言いました。
「……返してくれるよな。俺の予備だぜ……」
アトロゥの片手が、パックの脳天をつかみました。もう一方の手に握られた短剣の刃が、パックの首すじに触れたその時でした。
「待ちなっ!!」
アトロゥの手を止めたその声は、
黒髪の
「まったく、ブバホッドが心配するから来てみれば! 独断
奪った大剣を突きたて、
「おい、ずきん男!! そいつを放しな!! こいつと交換にしてやるよ!!」
ワッピティはそう言って、踏みつける頭へさらにグリグリと、
「いらねぇよ、そんなもん」
にべもなく言いすてたアトロゥに、ワッピティは目をしばたたき、口をパクパクしました。
しかしそれもつかの間、新たな声が響きました。
「待ちなっ!!」
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