第24話 死がふたりを別つまで
オシアンは、金髪の娘を両腕に抱き、走りました。
やがてオシアンは、たち枯れた
金髪の娘は、オシアンの目前へと投げだされました。それに、もうひとつ――コロコロと離れていく、樹の実がありました。
オシアンは、それが今まで自身の手の中にあったことに、その時気づきました――矢も盾もたまらず、追いかけ跳びつきました。
娘を置きざりに、オシアンはふたたび樹の実を手のひらにおさめました。そして
うららかな日ざしに、枯れ木は
「ニアヴ!……ニアヴ!!」
オシアンの呼びかけに、答える者はありませんでした。むなしい響きを、涼やかな葉ずれのささやきが払いました。それは彼にとって、命の
身じろぎもなく温もりを失っていく娘と裏腹に、オシアンの手のひらは熱く胎動しました。じっとりとにじむ汗に、すべり落とさぬようさらに強く握り、それを見ました。
「……首だけになっても動きまわる、あの生命力……力と、命をつなぐ……!」
オシアンの
ジヴウゥゥゥゥ……ゥ…………
彼の
常若の樹は時を
***
人と樹――時の流れを異にして、交わらぬはずのふたりは、ひとつでした。
オシアンが彼女と
彼女がオシアンと
自我なき意識は無軌道な夢を見るようで、彼女がひとり
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