第26話 物語の果て
深き森の奥、大剣が突きたっていました。
「……
男はつぶやきながら、散乱する枯れ木の山を踏みこえ進みました。枯れ木は、
男の横目には、緑髪の娘が映っていました。体を丸めて横たわり、たち枯れた大木の、露出した根にすがっていました。
立ち枯れの大木は、老婆のような
男は、大剣へとたどり着きました。ふり返って腰を落とし、後ろ手に縛られた両腕を大剣にあてがいました。
ギコギコギコギコギコギコギコギコ…………ぶちりッ
男は解放された両腕で、大剣を大地の封印から抜きはなちました。
ふたたび大剣を手にした男――大剣の
「
『
大剣の
大剣の
「待っていろ……せめて
大剣の
大剣は、構えが解かれ片手持ちになっていました。男の歩くにつられ、後ろへ振られた、その瞬間でした。
「お前たちの墓標にそえるのは、こいつの――」
男の視界の外で、大剣がグンッと引かれて、男の言葉はとぎれました。
男がふり返ると、大剣に樹が絡みついていました――いびつな顔とやせぎすの体に、ナラの葉をそえる亡者の樹が。
「チェストォーッ!!」
気合一発とどろかせ、天から娘が
大剣の
大剣の
木の陰から、槍を携えた緑巻き毛の青年――ブバホッドが現れました。加勢のために近よりましたが、ワッピティの気勢に押されて立ちどまっていました。
そんな光景を背にして、左こめかみから
ナラの葉をそえる
プーカは、パックが語りかけてもなま返事で、寝ぼけまなこが遠くを見やっていました。
プーカは夢を見ました。夢の中では若者がふたり、他愛ない会話に戯れていました。なぜだかそれは、温かくて、切なくて、うら寂しさが心にわだかまりました。
想いはやり場もなく、プーカは両の手の内に、祈るように閉じこめるのでした。
***
その娘の金髪は、彼女が腰を下ろす大地に、豊かにあふれていました。彼女は、その
娘のもとへ、天使たちが集い、寄りそいました。天使たちは、あくびをしたり、目をこすったり――木彫りの短剣を娘に渡すと、横たわって眠りはじめました。
娘は、両手で短剣の
伏し目がちにほほえむ彼女の
*
娘を取りかこんで、芽が生えました。
芽は伸び、様々な
枯れた草木の
生まれ、育ち、枯れ、また生まれ――
それは、
*
樹をなす森の
ただ物語だけがそれを知り、伝えるのでした。
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