第6話「その力の正体とは?」

遺跡の奥へと進んだ大輔たちは、ついに広間のような空間にたどり着いた。そこには、古代の彫刻や壁画が所狭しと並び、中央には神秘的な光を放つ祭壇があった。祭壇の上には何かが封印されているように見える。


「これが古代の遺物か…」

ルカスが祭壇をじっと見つめ、慎重に歩み寄った。


「待って、何か不穏な感じがする、気をつけて」

アリアが鋭い目つきで周囲を警戒する。彼女の手は剣に触れ、いつでも戦闘に備える姿勢を見せていた。


大輔も緊張しながら祭壇の上に目を凝らした。そこには古い宝石のような物体が鎮座しており、青白い光がゆっくりと脈動している。


「これが遺物か?見た目はただの宝石みたいだけど…」

大輔がそう言って手を伸ばそうとしたその瞬間、祭壇の光が一層強くなり、空間全体が震え出した。


「離れて、大輔!」

アリアが叫び、大輔を引き戻した。


その瞬間、祭壇から突然、巨大な影が現れた。それは遺物を守るために召喚された守護者のようだった。鋭い爪と燃えるような目を持つその魔物は、3人に向かって襲いかかってきた。


「こいつが遺物の守護者か…!」

ルカスが急いで魔法の準備を始めた。


「私が前衛で受け止める、ルカス、援護を頼む、大輔、タイミングを見てくれ!」

アリアが剣を抜き、守護者に立ち向かう。


「わかった!」

大輔は焦る気持ちを抑えながら、深く息を吸い込んだ。


彼は目を閉じ、意識を静かに集中させた。心の中で、自分がリラックスしている瞬間を思い浮かべる。まるで学校の授業中、うとうとしながら居眠りをしているかのように、ゆっくりとした呼吸を繰り返す。


大輔が自分の「寝坊の力」を引き出す時、周囲の時間が次第に緩やかになっていく感覚が彼を包み込む。音が遠のき、視界の端がぼんやりとしていく。彼の体がリラックスし、まるで夢の中にいるような感覚に囚われる。


「今だ…」

大輔はその感覚を手繰り寄せながら、時間を遅らせる力を発動させた。


守護者の動きがゆっくりとスローモーションになり、大輔はその姿をじっくりと観察した。守護者がどのように動くか、次にどこを攻撃しようとしているかが、まるで手に取るようにわかる。


「アリア、右側に回り込んで、そこが弱点だ!」

大輔は時間の中で的確に指示を出した。


アリアはその指示に従い、守護者の側面に回り込むと、力強く剣を振り下ろした。彼女の剣が守護者の弱点に深く突き刺さり、魔物が苦しげに吠える。


「今だ、ルカス!」

大輔がさらに叫んだ。


「任せろ!」

ルカスが力強く叫び、杖から強力な雷の魔法を放った。雷撃が守護者に直撃し、魔物は激しくのたうち回る。その間、大輔は時間を遅らせたまま、守護者の動きが完全に止まるタイミングを見極めていた。


「あと少しだ…!」

大輔は守護者が次に動き出す前に、最後の一撃を指示しようとした。


その時、守護者の体が光り始め、まるで反撃に出ようとするかのような動きを見せた。しかし、大輔はそのわずかな兆しを見逃さなかった。


「今だ、全力で攻撃してくれ、アリア!」

大輔が叫んだその瞬間、アリアは全力で剣を振り抜き、守護者の頭部を狙った一撃が決まった。守護者は大きな音を立てて崩れ落ち、地面に倒れ込んだ。


「やった、倒したぞ!」

大輔が安堵の声を上げた。


「でも、まだ気を抜かないで、遺物の力が何なのか、まだわからないから」

アリアが息を整えながら言った。彼女の表情には疲れが見えるものの、可愛らしさを感じさせる微笑みが浮かんでいた。


「ルカス、あれは一体…?」

大輔が祭壇の上の遺物を指さしながら尋ねた。


ルカスは慎重に近づき、宝石のような遺物を手に取った。「これは…どうやら古代の魔法が封じられているようだ。でも、この力が何を意味するのかは、まだ完全にはわからない…」


その時、遺物から微かな声が聞こえてきた。大輔、アリア、ルカスの3人は驚きながらも、耳を澄ませた。


「この声は…誰だ?」

大輔が不安げに尋ねた。


「私たちに何を伝えようとしているのかしら」

アリアも同じく困惑しながら言った。


遺物の声は徐々に明確になり、まるで何かを訴えかけているかのように聞こえた。これが古代の遺物の持つ力であり、その正体を解き明かすことが次なる彼らの使命となった。

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