第13話 レーベル

前回に引き続き、


①資料集めはサボるな

②市場リサーチはサボるな


の2観点をもとに、つらつら述べていきます。




自分はラノベも文芸も、

「ライト文芸」なるジャンルも手広く書いてる物書きですが、

特に最近ご縁が強めなライト文芸に関しては、

出版不況やら読書離れやらいろいろ言われてる業界で

かなりがんばってるジャンルだなー、と個人的に思います。


なぜなら、ライト文芸は今や(あるいは昔以上に)

「ライトノベル」ではなく「文芸」のジャンルだからです。




自分は本屋さんに行く時、

必ず真っ先にラノベと児童書のコーナーを見ます。


その書店のコーナーで、

どこの「レーベル」が優遇されているのかを知るためです。


ラノベはやはりどこの書店に行ってもKADOKAWAが強く、

アニメ化作品をのぞいて

電撃・スニーカー・MFに多くスペースを割かれている印象。


ですが、そもそも最近のラノベは

「文芸(小説)」よりも「コミック」のコーナーに

棚を設けられていることが非常に多く、

しかも新文芸(なろう系)含め

非常にスペースが少なくされがちな、

ハナから「本屋さんに冷遇されている」ジャンルなんです。


壁際の棚に追いやられているラノベを見ると

「あー、この店に無名作家のラノベ置いても読者の

新規開拓は望めないなー。売れなさそー」ってなります。




そんなにラノベが買いたいならアニメイトとか、

ラノベをいっぱい置いてる書店に行けばいいじゃん。

それか通販でいいじゃん、……って考え方もあります。


実際、ラノベが好きな層はそうしてると思います。


ですがそれを前提にしていると、読者の新規開拓

(ラノベというジャンルを普段読まない層へのアプローチ)

はメディアミックス・アニメ化以外の方法では

非常に難しく、作家個人のプロモーション力にも限界があります。


読者層が広げられないということは、

この先はどんどん狭まっていく一方ということです。

まるで現代音楽だな。(唐突な現代音楽ディス)




対して、ラノベ文芸のレーベルは

出版社が大手かそうでないかの差はもちろんありますが、

基本どこの本屋さんでも優遇されている印象です。


というのも、単純に人目につきやすい&

活字を読むのが好きな読者層が見つけやすい

「文芸」のコーナーをきっちり陣取っているからです。


ライトに読めてイラストもついて……という

書き口も読み口もラノベとそこまで大きく変わらない

はずだったジャンルが、

ていうかラノベから派生したはずのジャンルが、

今はいっぱしの小説とほとんど変わらない顔して

本屋さんに並んでいるわけです。


神保町でも、ラノベは置いてないけど

ライト文芸なら置いてる書店、かなり多かったです。


ライト文芸は今後も、書籍を売るという観点においては

どんどんラノベとの差を広げていくんじゃないでしょうか。


(メディアミックスという観点でも、なんやかんやラノベと遜色なく展開できてる感じします。コミカライズ・アニメ化はラノベのほうが強そうだけど……実写ドラマの原作はライト文芸優勢だから……二次利用の面でもトントンなんじゃないかな)




ひとまず、書く側が尽くせる努力はサボらずに尽くしたい……。


日頃、いろんなコンテストに応募している方は

そのコンテストに受賞した後どんなプロモーションを受けて

どんな形で市場に売り出されていくか、

書き始める前にあらかた想像しておいたほうがいいです。


そのリサーチの結果が、

書いた物語にもおのずと反映されていくからです。




今年4月に入選した短編のコンテスト主催、

ことのは文庫さまの本を最近はいろいろ手に取ってみてますが、

どの本も「ライト文芸なんて嘘やん? 一般文芸やん?」

ってくらい作り込みがすごいです。


特に、現代日本(東京とか北海道とか)を舞台にしたお話は

「絶対この作者さん現地民じゃーん!」ってくらいに

リサーチが半端ないです。


率直に申し上げて、よくもまあ、

ここのレーベル主催で入選できたなって思います……。

(滝汗)(前述の①も加味して)

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