Track05 「あれ……? おかしいな……」


(チュンチュンという朝の鳥の鳴き声)


 幽霊、自分の手をまじまじと見ながら呟いている。


「あれ……? おかしいな……」


「私の予想が正しければ、そろそろ成仏できても良いはずなのに……どうして……」


(ベッドでもぞっと動く音)


 主人公、目を覚ます。


「うわぁぁぁっ!? び、び、びっくりしたぁ……キミ、もう起きたのか。朝は早いんだね……え? ああ、うん。おはよう」


「良い天気だね。今日は」


 幽霊、小声でつぶやく。


「…………もしかして、まだ未練の解消には足りない、のか……?」


「ああ、ううん。なんでもない。なんでも、ないよ。……それより、だ。今日は私が朝御飯を作ってあげよう! 昨日見たカップ麺……あれくらいならば私にも作れそ……え? 朝御飯にカップ麺はきつい? ふぅむ、そういうものなのか……」


「まあしかしなんだ。キミは私を外に連れ出してくれた恩人だからね。なにか私にできそうなことがあれば、なんでも頼ってくれ。ああ! なんでも、だ!」


「誰かに仕事を任せきりの生活には、生前飽きるほどしたからね。今は誰かのために働きたい気分なのさ」

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