第2話 出会い


「あぁ…クソが」


なんとか俺は落ち着きを取り戻すことが出来た。


「動くな、両手を挙げて待機をしろ!」


「はっ?!なんだよ、急に!今度はなんだ!」


ディアブロを倒したら今度はなんだよ。今度は人間相手に何かされるのかよ。そんなことを思いながら両手を挙げて膝をついた。


「いくつか質問する。聞かれたことだけに答えろ。まず、名前と年齢は?」


「まずは自分から名乗るものじゃないんですかね」


「射殺許可は出ている。聞かれたことだけに答えろ!」


射殺許可?なんだよ、それ!軍か警察?なんだとしても言うことを聞くしかない。


「名前は、神谷青空。年齢は22才」


「ディアブロがここにいたはずだろ。ここで何をしていた。状況を説明しろ。」


「急に現れたディアブロに襲われた。そしてここに逃げてきて能力が覚醒した!それで撃退しただけだ!」


「α2それは本当か?」


「ディアブロの反応がここで消えたのは確認とれてます。そして奴の足元の黒ずみはディアブロの灰です。何よりこいつに能力の届出は出ていません。」


「そうか、とりあえず逮捕は逮捕。届出なしで能力の使用と放火だ。消防が来る前に撤収する。」


「了解」


クッソなんで逮捕されなくちゃならねぇんだ!能力の使用も不可抗力だろ!クソが。どちのしろ、抵抗したら射殺だ。どうすることもできない。俺はそのまま逮捕されるしかなかった。そして、どこかに連れてかれた。


「降りろ!」


どこかについたらしい。俺は車から降ろされ施設に入らされた。


「ついてこい」


俺は取り調べ室に入れられイスに座らせられた。少し時間が経つと誰かが入ってきた。


「よう、ガキ、特別に俺から説明をしてやる。」


あれだ、俺をここに連れてきた連中のリーダーらしき人間が入ってきた。


「まず、名乗れよ、誰なんだよ、お前ら。」


「そうだな、ゼロ隊特殊部隊αチーム所属のリーダーα1、城谷和樹。」


「なんで、お前が説明するんだよ。暇なのか?」


癪に障らなかったため俺は少し高圧的に応答した。


「俺だって説明なんてしたくねーよ。連れてきた奴がやれと言われたんだ。でだ、お前の処遇が決まったから説明していくぞ。まず、届出なしでの能力使用は不可抗力としてお咎めなし。そして、放火なんだがそれは罰金が科されることになった。」


放火も不可抗力だと思うんだがまあ殺されるよりかは全然ましだと思いしぶしぶ了承した。


「罰金の支払いは経理の人と話してくれ。本題はここからなんだが、覚醒した者は6か月間訓練校に入る事、そして、1年半の徴兵か志願兵としてゼロ隊に入ってもらう。どうする?今ここで決めてくれ。」


訓練校のことやゼロ隊入隊のことも知っていたがものの数時間で人生の変化が多すぎる。少し考える時間が欲しい。


「一週間くれよ。」


「だめだ、今ここで決めろ。お前のことを調べたが今就活中なんだろ?ゼロ隊に入っちゃえよ。それに、ディアブロに親を奪われてる。ゼロ隊に入っちゃえば、就職先も親の仇もとれる。何より親に花を添えてしっかりお別れができると思うぞ。」


それは、そうなんだよな。就職先としては悪くないのは確かだ。福利厚生や収入は普通の公務員より上で位が上がればその分特権も与えられる。何より問題なのは親の仇ってやつだ。親の仇は俺の目の前でやられている。仇はもういない。


「仇ならまだ生きているぞ。」


「は?そんなわけないあいつは俺の目の前でやられている。」


生きている?ありえないそんなことはあり得ない。


「鬼のような奴だろ?生きてるのは確かだ。お前を救出した後、蘇った。正確には良く分かってないんだがそこの部隊が全滅、そして能力を持っていた一人の遺体が見つかってない。何より鬼が去っていく様子がカメラに映っていた。」


城谷はそう言って動画を見せてきた。そこには確かに俺の両親を殺した奴が映っていた。どうやら生きているのは確からしい。仇は生きている。だったら俺がやることは一つ、ゼロ隊に入って親の仇を取る。


「仇が生きているならやってやる。俺が奴を殺す。志願兵で頼む。」


「いいだろう。三日後に訓練校に入れ。大学も卒業扱いにするから。心配にしないでいい。」


やることは決まった。けどあいつに出会うにはどうすればいいか分からない。


「どうすれば仇を取れる?」


「特殊部隊に入れるようにゼロ隊で結果を出せ。強い個体は特殊部隊にほとんど振られるからな。そうすれば、チャンスは絶対に来る。あとは、訓練校できけ。」


他に聞くこともなく家に帰れることになった。帰る前に罰金のことを聞きに行ったが、志願兵でゼロ隊に入るならゼロ隊が罰金を払ってくれるらしい。非常に助かる。いうて、燃えたところの事後処理のための10万しか請求されてなかった。数百とかと思ってたから正直拍子抜けした。とりあえずは祖父にこのことを伝えて訓練校ように準備をすることにした。

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