50層 街


50層には街がある。誰が造ったかも不明だが、いつからかNPCとプレイヤーがごちゃ混ぜに生活をする街


「ああもう、どうしてこんなに人間ってのは

背が高いんだか。歩きにくいじゃないか」

思わず僕はそう呟いた。押しのけても押しのけても人ばかり、この背丈じゃ靴と尻ぐらいしかひたすら見えなくて嫌になる


「そこのうさぎちゃん、困ってるみたいだね

私の肩に乗っていくかい?」

民家の入口に足を組んで座っている女が僕に向かって言った。右手に火の消えた煙草を持ちながら


「大丈夫です、自分一人の力だけで行くんで」

「そうかい。無理はしない方がいいぜ」

女は持っていた煙草を足で潰すと、そのまま

入口に寝転んでしまった


目的地の郵便局には人があまり居ない様だ。中には頬杖をついて、何か書類を書いているスーツ姿の男だけが見えた

僕は入口すぐ近くの机にぴょんと飛び乗って

一枚の用紙を書いた


「おい、これを外に貼り出してくれ」

用紙をカウンターに置いて、僕はぶっきらぼうに頬杖の男に言った。頬杖の男は退屈そうに立ち上がって、カウンターに置かれた用紙を手に取ると、目を丸くした

「正気ですかい??これを張り出すなんて」

「そんなこたぁどうでもいいだろう。とにかく

私は急いでるんでね。頼んだよ」

「はぁ…」


男は不思議そうな顔をしながら、用紙を持って自分のデスクに座った。僕はぴょんとカウンターを飛び降り、郵便局をさっさと後にした


街を出る前にあの民家へ寄ったら、女は横になってぐっすり寝ていた。シーツみたいな上着がはだけて、赤い下着が見えていた

「こんなとこに寝ていると邪魔だよ。下着だって見えちゃってるし」と言いながら揺さぶったらふにゃふにゃ声で「らいじょうぶ…ここ私の家だあらぁ」とだけ言ってまた寝てしまった


胸だけはやたらと大きなどうしょもない女だった


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