僕の話 その2
ああ、そんな同情の目で僕を見ないでくれよ
前振りはもう終わりさ、ここからは愉快な話だよ
ご存知の通りこのゲームは何回死んでもセーブした所からコンティニュー出来るだろう
私もすぐにコンティニューしたよ。私にはまだ探してる物があったからさ
それでログインした場所は始まりの酒屋だったよ。こんな所でセーブした覚えは無かったが、まあいっかと僕は思ったけれど
周りがやたら「うさぎだ」「うさぎだ」と騒いでるもので、もしかして奴がまた現れたのかと酒屋を見渡したけど人ばかりじゃないか
「なんだいうさぎはどこにいるってんだい」と
僕がみんなに問いかけたら口を揃えてこう言われたのさ
「お前だよ!!」ってね
それでもまだ自分の姿に気づいてない僕は
手を見た。やたらとそれは丸っこかった
え…?!とすぐさまトイレに駆け込んで、
鏡を見るとそこにはチェック柄の服を着た
ぬいぐるみの様なうさぎが写されてたのさ
そう、あのマグマに落ちたうさぎと同じ姿をしたね
ま、それから色々あって
あなたと今こうして話してるってわけさ
「…意味がさっぱり分からん。元のやつが
持っていたアイテムやらはどうなった?」
「消えちまったよ、綺麗さっぱりな」
手のひらを上向きにして呆れた顔をしたら
彼は同情の視線を送った、そんなものは
求めてないのに
「さてと…そろそろ僕は行くよ。じゃあね、
君が突然襲いかかって来てくれたお陰で新しい情報が得られて助かったよ」
「そりゃ良かった…ってか行くってどこへ?」
「さぁね、行けるとこまで行くよ。アイツを
一発ぶん殴ってやるまで」
「行けるとこまでってまさか297層より下を目指してるのか?そりゃ無茶だよいくら無敵だとしてもあそこは流石に」
遠く、ドラゴンの悲鳴が聴こえた
「そうだね、存分に笑っておくれ。こんな姿に同情はいらないよ。ここでは弱者に与えられる物は何にもない。だから僕は行くだけさ」
「…わかった。達者でな」
こうして僕と彼は違う方向へ歩いていき、やがてその姿は見えなくなった
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