第40話 税の主な種類

「『税金』かぁ。消費税以外にどんなのがあるのか、ぜんぜん知らないよ」


 カノは、首を横に振りながら言った。


「えっと、所得税だったかな。お給料をもらう場合でも、税金を納めないといけないんだよね」


 ハルは、知っていることを述べる。


「そう。まぁお給料に限らず、収入の額に応じて、税金を納めないといけないのが所得税だ。収入の金額が大きくなるほど、納める税金の額も上がっていく。しかも、消費税のように一律何パーセントというわけでなくて、収入が多いほど、税率も上がるんだよ。恐ろしいことに」


 パパは、困った顔をして言った。


「えっ、それってどういうことなの?」


 カノは、しっかり理解したくて質問する。


「単純に言って、年間の所得が三百三十万円以下なら、十パーセント。約七百万円まで二十パーセント、一千八百万円をこえると四十パーセントと、所得が増えるに連れて、パーセントも増えてしまうんだ」


 パパは、ため息まじりに解説した。


「ってことは……たくさん稼げば、稼ぐほど、税率というパーセントが上がるから、とんでもない額を納めないといけないってこと?」


 ハルは、聞きたくないことを確認した。


「そうだよ。一年間で収入が仮に二千万円あったとすると、その四十パーセント。つまり、八百万円は税金として納めないといけないんだ。まぁ、所得税の実際の計算は控除こうじょという特別な値引きみたいなものもあるので、そんなに単純ではないのだけどね」


 パパは、落ち着いて説明する。


「は、八百万円! そ、それ、ひどい話だよー。収入が多いってことは、何かしらの価値をより多く世の中に提供して、報酬としてもらっているわけよね」


 カノは、ちょっと怒った顔になっている。


「それで得たお金を、なんか巻き上げている感じだなぁ」


 ハルも不服な感想を述べた。


「まぁ、『税金』のある役割をまだ説明していないから、ひどい話と思うかもしれないけれど、続けよう。税金の種類は非常に多い。約五十種類ある。なので、パパたちのようなサラリーマン家庭に関係するものにしぼるよ」


「それでお願いしますー」


 カノが言った。


「まずは大人が楽しむお酒。お酒の値段に税金が含まれている。正確にはお酒を作っているメーカーさんが納めているのだけど、当然、商品であるお酒の価格にも影響する」


「へえー、お酒を飲むのにも税金を納めるのかぁ。じゃあ、さっき買ったビールにも?」


「そうだよ。それから、似たようなものにタバコ税がある。タバコはね、その金額の約六十パーセントが税金。健康をそこねる商品だからという面があるから」


「ええっ、それって半分以上、税金! パパもママもタバコを吸わないからよくわからないけど、吸っている人はたくさん税金を納めていることになるのね」


「他には、ガソリン税がある。自動車を走らせるのに使うガソリンの価格には、一リットルあたり約五十四円の税金が含まれている。それから、自動車を保有しているだけでも、自動車税という税金がかかる。これは保有している車のサイズなどで金額が変わるけど、所有している場合は毎年五月に納めないといけないんだよ」


「自動車は、持っていても税金がかかるし、走らせても税金がかかるのか」


 ハルは、ため息をつく。


「そうだよ。うちも車を持っているから、当然、納税しているよ。ゴールデンウィークで遊んだ後で自動車税の通知がくるのがね……毎年、痛い。それと、土地や家を所有している場合は、固定資産税というのがかかるんだよ」


「家も土地もなの? なんだが、いろいろなものに税金の仕組みがあるのね。イヤになっちゃう」


 カノは、うんざりした顔になっていく。


「あと、その地域に住んでいることで、課せられる住民税というのもあるね」


「えっ! そんなことにも? あーなんだか、あれもこれも税金って、ひどいとしか思えない」


 ハルも、不満が爆発しそうだった。

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