第15話 生きていくための消費

「前にも話したとおり、人が生きていくためには、衣食住が必要だ。そして今の世の中では、お金を使うことで衣食住が手に入る。稼いだお金を衣食住のために『消費』することは、ぜんぜん悪いことではないんだ。お金を使って食べ物と交換する。そして、食べる。でないと生きていけない」


 パパは、にこやかに話した。


「うん。わかった」


 カノは、大きくうなずいた。


「ぼくらが生きていくためには、『消費』は欠かせないんだね。洋服だって、長く着ていると、すれて破れてダメになってしまうもんなぁ。食べ物も、洋服も、お金を払えば手に入るように、誰かが用意してくれているんだね」


「そうだよ。もちろん、その人たちは、商品として売るために『投資』をしている。利益を得て、前よりお金を増やしたい気持ちはもちろんあるわけだ。でも、同時にみんなが生きていくために必要だから、商品を作っているのさ。より楽ができるように、より楽しめるようにと作られている商品やサービスは、他にもたくさんある」


「生きていくための『消費』って、どんなものがあるのかな? 衣食住って、なんかおおざっぱだよね」


 カノは、気になったことを口にする。


「ぼくも、もっと具体的に知りたいな」


「生きていくための『消費』は、たくさんある。食べ物は欠かせない。着るものも寒さをしのぐのには必要だね。住むところがないと夜、寝るのに困ってしまう。それから、水。水道がないと料理も洗濯も大変だ。おフロも入れないからね」


「おフロを沸かすのに、ガスも必要だー」


 カノが、付け加えた。


「家の中で電気が使えないと、きっとすごく不便だよ。冷蔵庫が使えなくて、食べ物が保存できない。灯りもないと夜は真っ暗だ」


 ハルも、身近な便利さを述べる。


「今話に出てきたものすべてに、パパたちはお金を払っている。食費、水道代、電気代、ガス代とか言うでしょ。他にもスマートフォンやインターネットを利用するための通信費も欠かせないものかもしれないね。オンラインつまりネットで、いろいろなサービスが受けられる世の中になっているから」


「生きていくために、『消費』しないといけないもの……けっこう多いのに驚きだよー」


 カノは、指折り数えて、感想を述べた。


「でも、ないと困るものばかりだ。『消費』というお金の使い方は、悪いわけではないんだね」


「そうだよ。でも、水を出しっぱなしにするとか、電気をつけっぱなしにするとか、食べ物を残すとかはダメだよ。お金を余計に消費してしまうというのもあるけれど……地球という環境を大切にしないといけないことは、学校でも習っただろう?」


「うん、もちろん」


 ハルは、うなずく。


「もったいないって気持ちが、大切だわ」


「二人とも、生きていくためにお金を『消費』することが必要と理解できたね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る