第4話 さまざまなお金の形
「パパ、おやつは食べ終わっちゃったけど、もうちょっとだけ教えて。さっきお札の話が出たけど、お金の形は、硬貨と紙幣以外にもあるの?」
カノは、問いかける。
「ぼくらにとっては、硬貨とお札くらいしかない気がするけど、他にもあるのかな?」
「良い質問だね。ひとつずつ確認していこう。まずは硬貨。十円玉とか百円玉とかだ」
「金属でできていて、円だけに丸い形をしています」
カノは、にっこりと微笑んだ。
「あ、たしかに。それは気づかなかった。でも、どうでも良くない? それ」
「ははは。じゃ、日本の硬貨は何種類?」
パパは、笑ってから尋ねる。
「えっと、一円玉、五円玉、十円玉、五十円玉、百円玉、五百円玉で、六種類かな」
カノは上目遣いになりながら、指を折って数えた。
「あ、なんか面白いね。一、五ときて、一けた増えて、十と五十、でまた一けた増えて、百と五百」
ハルは、興味深そうな表情をした。
「金属でできている硬貨は、丈夫だね。さびてボロボロにならないような金属が使われているけれど、その金属については省略しよう。硬貨は小銭と呼ぶ人も多い」
「お財布にたくさん入っていると、ジャラジャラで使いづらいわ」
カノは、ちょっと口を尖らせる。
「でも、買い物でお金を払う時、数字を確認しやすいよね、六種類の組み合わせでさ」
「硬貨の良いところは、並べて数字を確認しやすいところにあるね。じゃ、紙幣はどんな種類があるかな?」
パパは、二人の顔を見て言った。
「千円札、五千円札、一万円札の三種類かな。こっちも、千、五千ときて、一けた増えて一万だわ」
「ぜんぜん見かけないけど、二千円札もあるんだっけ?」
ハルが、付け加えた。
「あるね、二千円札。ある意味、記念的な紙幣だから、まぁ見かけることはめったにないかな。何かの記念で、特別な硬貨が作られることもあるんだよ。オリンピックなどでね」
と、パパは豆知識を披露する。
「ヘぇー。見てみたいね」
ハルとカノは声を揃えていった。そして、思わず顔を合わせて笑った。
「じゃ、本題にもどろう。硬貨と紙幣は、二人にとって身近だろうけど、他にもお金の形はある。正確にいうと表現というのがいいかもしれない」
「表現? なんだろう。実物がないのかなぁ」
「まずは、通帳の残高なんてどうだい? 通帳を見れば、銀行にいくら預けているかがわかるよね。お金を数字だけで表現している形」
パパは、例を示した。
「でも……お年玉を銀行に貯金した時、お金を銀行のお姉さんに渡したよ。それで通帳に記入してもらったわ。わたしのお金はちゃんと銀行にあるはずです!」
「ハルくんやカノちゃんくらいだと、お金を預けたままだろうね。大人になると、銀行の口座、つまり預けているお金から何かの支払いをすることがあるんだよ。例えば、電気代とかの毎月の支払い。毎月支払わないといけないのがわかっているから、銀行に預けているお金から自動的に支払いをしているんだ」
「へぇー、それじゃ、お財布のお金を使うのと同じみたいだねー」
「じゃ、パパのお給料も、銀行の口座に毎月入ってくるの?」
ハルが、興味深そうに確認する。
「そのとおり。会社から直接もらうのではなくて、振り込まれる形だね。通帳には、金額が数字で足したり引いたりがされているだけになる」
「なんか、お金を持っている実感がなくて、こわいなぁ」
「お金は長期間保存ができる機能があるんだよね。でも、それって極端に言えば数字だけわかっていれば良さそうだね」
ハルが、残っていた最後のチョコに手を付けた。
「ハルくんの言うとおり、最近の世の中は、硬貨とお札の出番がだんだん減ってきているんだ」
「銀行の通帳以外にもあるの?」
「ハルくんも、カノちゃんも、持っているよ。おでかけする時に使うでしょ」
「あ、PASMOか。お金をチャージして、その金額分、電車に乗ったり、自動販売機で飲み物を買ったり」
「電子マネーと呼ばれるものだね。硬貨のジャラジャラいらずで、便利だ。何かものを買う時の手間が省けるので、みんな便利だと思っているよね」
「前に一回だけ、私はPASMOを忘れた時、きっぷを買ったけど……ちょっと面倒だったよ」
「お金の形は、他にもあるけれど、とりあえず身近なところだけだと、これくらい」
「お金の話、とても面白かった。また今度教えてほしい」
ハルは、素直に感想を口にした。
「わたしも。お金のことをあんまり知らないで、使っていた気がするから」
「よし。じゃ、またの機会にね」
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