課外学習

ハクアイル

第1話 山から見る女

 この話は、自分が小学生の頃に体験した話です。

 自分の通う小学校で、自然体験ということで学年の生徒達と、自然の中にある施設に泊まりに行くことになりました。そこはすぐ近くに山があり、囲まれています。


 朝から自然学習と言う事で動植物の観察や川への魚獲り。木板を加工して思いおもいの物を作る創作活動をしていました。


 朝昼と、予定通りに追わり、夕食はBBQと楽しいことが色々ありました。

 そして、就寝時間が近づき、生徒は各部屋へと戻りました。一部屋は5、6人で友人達と楽しく過ごしていました。


 そして時間は過ぎ、夜中近く。

 それは起こりました。

 その時、ちょうど時計を見たので時刻は0時くらいだと記憶しています。


 自分達のいる部屋の外が騒がしいのです。


 ──ざわざわとしています。


 何事かと思い部屋を出ると、女性教師に抱きつく形で同級生の女子が泣き声をあげています。


 これにつられ他の生徒達も出てきます。


 女子生徒は訴えるように教師に言っています。

「──窓の外から女の人が部屋を覗いていた」と。


 ですが、自分達生徒の泊まっている部屋は2階。


 覗けるはずがないのです。

 先生は言います。


「何か見間違えたのでは?」と。それを証明するかのように、他の引率の教師がその部屋に入り窓を開け確認しています。


 ──しかし当然何もありません……。

 

 自分も友人達とその部屋の入り口まで行きドア越しに部屋を覗きますがやはり外に見えるのは漆黒の中、月に照らされた木々が立っている山です。


 ──ですがしきりに訴え女子生徒は怯えています。


 それを見かねた先生は、その女子生徒がいる部屋を空けることにしました。その部屋の生徒は全員教師の部屋で一緒に寝ることになりました。


 そしてその部屋から先生が出てドアを閉めようとした時に自分の目に映りました。


 窓の外。木の影に隠れるように、こちらに視線を向ける女性の姿……。

 

 自分は鳥肌が立ち大声で言いました「あの木の横に女がいる!」と。教師達は一斉に目を向けますがすでにいません。

 

 自分は怒られながら部屋に戻るように促されました。ですがやはり気になり、教師達がいなくなった後、再びその部屋のドアを開け確認に行きました。


 自分は霊などは割と見えてしまうので、そこまでの恐怖はありませんでした。


 ──ドアを開け、窓の外を見ます……。


 目に見えるのは木々だけで何もいません。


 やはり気のせいかと思いドアを閉めようとした時、現れました。

 

 木の横から顔を半分出した女性です。


 肌は白く黒髪であることが分かります。


 白いワンピースのような物を着ています。


 女性はジッとこちらを見ています。


 流石に気分が悪くなった自分はすぐさま扉を閉め部屋に戻りました。


 ──そして考えます。


 あれはどう考えてもおかしいと。

 

 部屋は二階です。その二階の部屋の窓から同じ目線で見えている。つまり、木の途中から浮くように顔を出していることになります。


 その日の夜は結局眠れず翌朝を迎えました。


 教師達は昨日の女子生徒の言う通り窓のその外に位置する山を確認していました。ですが、何も見つかるはずはなく、結果的に、女子生徒の勘違いと言う結論に至りました。

 

 ですが、間違いなくあの場にはいました。

 今でもその光景は覚えています……。


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課外学習 ハクアイル @Hakuairu

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