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特務課司令・司。
時には捜査員として、そして時にはオペレーターの統括・捜査員への指揮などあらゆるジャンルで非凡な才能を発揮した彼女。
そんな司は今、捜査四課長として事件を追っている。
捜査一課長のポストや、さらに上への昇格の話も上がったのだが、
「まだまだ私は現場で事件を追いたい。私はもっと動ける。これまでだって、これからだって……。」
先の『神の国』事件で恋人であった灰島を死なせてしまったことが、ずっと心残りであったのだ。
あれは司のせいではない。
そう、特務課メンバーも、司自身もわかってはいたのだが、それでも司の後悔は消えなかった。
もっと捜査員として完成されていれば。
もっと自分の推理力が高ければ……。
悔やむのは、自分の能力の低さ。
他の誰も、司の能力については申し分ないと思っているのだが、司自身が納得していなかったのだ。
自分はもっとやれる。
自分はもっとやれた。
そう、自分に厳しかったのだ。
そんな中、司の転機が訪れた。
逮捕された高橋警視監のポストに、捜査四課長の熊田が座ることになった。
実績・経験共に申し分ない熊田が警視監につくことに、誰も異を唱えなかった。
そして……。
「新堂、お前行くところに迷ってるのか?」
そのタイミングで、司に熊田から声がかかったのだ。
「私はもっと現場に出たい。もっともっと有能な刑事になりたいんです。」
「そうか……。それならお前、四課に来いよ。俺のとこ、空いただろ? 推薦しておいてやる。」
それは、願ってもない申し出だった。
捜査四課であれば、現場にもまれる機会も増える。
暴力団関係の仕事なので、危険も多い。
しかし、達成感もひときわ高い部署であることも確か。
「……お願いします。やらせてください。」
司は、迷わなかった。
こうして、武闘派集団ともいえる捜査四課に、初の女性課長が誕生したのであった。
司が課長になってから、これまでの四課の行動力に、緻密な分析力が加わることになる。
これまでは熊田が勢いで現場に向かっていたが、司はそこに犯人・暴力団関係者の行動の傾向の分析を織り交ぜ、より相手を追い込むことに成功したのだ。
方針は熊田が引っ張ってきた捜査四課のまま。
『強いものが正義ではない。正義が強いんだ。』
この言葉を胸に、捜査四課・新堂課長の新生捜査四課は、これまでで最高の検挙率を出すことになる。
「相手が誰であろうと私は怯まないわ。私は正義の味方になるの。声が大きい人が我が物顔で歩く社会は、もう終わりよ。」
司はこうして、警視庁に欠かすことの出来ない存在となっていくのである……。
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