12-7
「やはり、こちら側にはあなたが立ちはだかるわけですね……。」
一方、あさみ達とは別行動を取っていた小泉率いるSIT部隊は、古橋と遭遇していた。
「小泉……やはりお前が来たか。誰の指名だ?」
「自分が志願しました。」
「馬鹿な……命を落とす確率が、格段に上がると分かっていてもか?」
「……それでもです。あなたを止めるのは、私しかいない。」
SITの隊長と副隊長。
それぞれ、一般の隊員だった頃からの馴染みであった。
先輩と後輩として、古橋は小泉を可愛がり、また小泉は古橋を尊敬していた。
「お前に部隊統率のイロハを教えたのが俺だと言うことを、忘れてはいないだろうな?」
「勿論です。だからこそ分かる。あなたの部隊統率の意図が。」
「今までの俺が、嘘だったとしてもか?」
「私に嘘なんてつけないですよ、先輩は。どこかで道を踏み外したとしても、根っこのところは変わってない。私だって馬鹿じゃない。変な奴の下で長いこと働くようなミスはしません。」
「言ってくれるな……。」
「……あなたの部下であり、後輩ですから。」
古橋の無線が、なにやら音声を発している。
「……了解。こちらも作戦行動に入る。」
古橋はそれだけ答えると、右手を上げた。
それを合図に、物陰から武装した集団が現れる。
「退く気は、無いんだな?」
古橋のその視線に、殺気が宿る。
「……すいません。先輩の下で働いていたもので、頑固さが移ってしまいました。」
ふたり同時に、拳銃を構えた。
「あちら側も戦闘を始めたようだ。こちらもすぐに終わらせて加勢に行かなければならなくてな。」
「なるほど。SITの方が簡単に制圧できる、そう考えたわけですね? 舐められたもんだ。」
小泉が右手を上げる。
後方に控えていたSIの隊員たちが、速やかに陣形を作る。
「なるほど、野戦に適した配置だな。よく訓練されている。」
「あなたの指導の賜物ですよ。しかし、ここからは私の指揮の力を見てもらいます。」
不意に、小泉は古橋の左側を指差した。
「ちっ……散れ!」
その意図に気づいたのか、古橋が大声で武装集団に指示を出した。
「撃てーーー!!」
小泉の声にいち早く反応したのは、彼の遥か後方にいるふたりだった。
「まさか……ロケットランチャー!?」
後方の隊員から放たれた弾が、古橋の立っている場所の左側の斜面に着弾する。
轟音と共に2発のロケット弾が着弾し、その場を吹き飛ばした。
吹き飛ばされた木々、土砂が周辺に飛び散っていく。
「うわぁ!!」
「く、崩れる!」
数人の武装集団が、爆風に巻き込まれた。
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