10-3

 小島の息子の家は、西麻布にある。

今では、妻と子供と3人で、高級住宅街暮らしをしている。



「元暴行犯が、悠々自適に生きて幸せな生活を送っているって言うのも、なんか納得いかねぇな……。」



小島の家はもうすぐ。

虎太郎は建ち並ぶ美しい家々を見ながら、小さく舌打ちをする。



「被害者の気持ちを考えると、やるせないよね……。でも、理不尽な殺人を許すわけにはいかない。ここはしっかりと割り切ってあたるとしよう。」


「……へいへい。うっかりぶん殴っちまっても、上手いこと揉み消してくれよな、北条さん。」


「そういう行為を隠蔽するわけにはいきません。やらないように。」



坂道を上れば、小島の家が見えてくる。



「この坂の上から、家が見える……ん?」



北条の視線の先、小島邸の前に1台のワンボックスカーが停まっていた。


「なんだよ、高級住宅街で家も立派なのに、車は案外フツーなのな……ってんなわけあるか! ガレージがあるじゃねぇか!!」



虎太郎が全力で走り出す。

北条も同じところに疑問を感じていた。

ガレージには、赤色のポルシェとおぼしき車が停められている。

だとすると、ワンボックスカーの持ち主は、来訪者。



「虎! 無理はしないで慎重に!」


「分かってるって!!」



このタイミングで小島邸を訪ねてくる人物。

それは、小島を狙う者に違いない。


まずは虎太郎が全力で家に向かい、その後ろを北条が走る。



「こちら北条! 小島邸の前に不審なワンボックスカーを発見! ナンバーは……」



北条が無線でワンボックスカーの照合を頼む。

虎太郎は開けっぱなしの玄関から、家の中に勢いよく入った。




「下手な真似はするなよ! 警察だ!!」


わざと大きな声をあげながら、虎太郎が家の中を探す。

人の気配はしている。

しかし家が広く、なかなか見つからない。



「いやぁぁ!!」


「うわーーーん!!」



そんな中、2階から女性の悲鳴と子供の泣き声が聞こえた。


「上か!!」



虎太郎が勢いよく階段を駆け上がると、次第に聞こえてくるのは男性の呻き声。



(……これ、もしかして首を絞められてるのか?)



このような呻き声には聞き覚えがあった。

首を絞められ、少しずつ意識が薄れていく、そんなときに出る声。



「なにしてんだコラァぁぁ!!」



声のする部屋に飛び込むと、そこには首を絞められもがいている小島と、大柄の男性の姿が見えた。



「殺人未遂の現行犯だぞ!」 


「あっちのが先に手を出してきたんだぞ。」



虎太郎の言葉に、男が笑いながら振り返った。



「手……離せよ」


「無理だな。コイツを殺せと『お上』の命令だ。」



ようやく、北条が到着する。



(今まで見たことがない構成員……彼も幹部か?)



灰島でも狙撃手でもない、別の男が小島邸を襲撃したいたのだ。


「おいテメェ……手を離せっていってるだろ?」



相手が小島を躊躇なく殺しに来ている殺し屋であると言うことを知っての上で、虎太郎がもう一度声をかける。



「だーかーらー、俺の仕事はコイツを殺すことなのー!」



対して大柄の男は、ようやく小島から手を離し、虎太郎に向き合う。



「逃げろ!」


虎太郎が小島に向かって叫ぶと、小島は部屋を飛び出そうとする。



「お前ぇ、逃げたらこっちの家族、殺すよ?」



大柄の男は慌てることなく逃げようとする小島の背に言い放つ。

男のすぐ近くに、小島の妻と子供がいたのだ。


「あーあ、普通はもっとこう……死ぬと分かってても妻子を逃がすために立ち向かわねぇか? 可哀想になぁ。どうだい? 一家の大黒柱に見捨てられた気分は、あぁ?」



ニヤニヤと笑みを浮かべたまま、男は小島の妻子に近づいていく。


「あ、あぁ……」



怯えてもう、身体が動かない妻。

母にしっかりとしがみつき、必死に恐怖と戦う子供。


なにも出来ずに見守ることしか出来ない、小島。



「『お上』にはこう言われてるんだ。万が一小島を殺すのに失敗したら、家族でも構わないってな。……面倒クセェから、全員殺してもいいな。」



男が拳を固く握る。

その大柄の体格もあってか、その拳はハンマーのように大きく見える。


そんな拳が、小島の妻に向かい振り上げられた、その時……。



ーーガシャン!!ーーー



男が、部屋の壁に思い切り叩きつけられた。

虎太郎が跳び蹴りを食らわせたのだ。



「さっきから何度も同じことを言わせんな! やめろって言ってるんだよ!!」



上着を脱ぎ、男に向かう虎太郎。



「こちら北条。小島警視正の息子宅で格闘。息子さんを狙った犯人はまだ家の中だよ。至急応援よろしく!」



男と虎太郎が格闘をしている間に、北条はこの家を包囲し、この男を確保してしまおうと考えたのだ。



(さすがは北条さんだぜ! じゃぁ、俺は応援が来るまで時間稼ぎ、だな。)



虎太郎が両拳を握る。



「俺も……間違って殺しちゃってもいいな?」


「お前には無理だろうがな。」


「試してみるか!!」



虎太郎が男に飛びかかる。


お互いに、武器とするのは拳と脚のみ。

殴っては殴り返し、蹴られては蹴り返しの繰り返しである。



(この野郎……どこかの格闘家か? パンチは重いし身体も硬い!)


飛んでくる拳はハンマーのよう。

そして、まるで丸太でも叩いているかのよう手応えのなさであった。



「なかなかやるじゃねぇか。俺のパンチを受けてダウンしない奴、お前がはじめてだぜ!」

 

「そりゃどうも。でもあんた、油断だけはしない方がいい。」



虎太郎の闘争心に火が付いた。


男と虎太郎の格闘は続く。



「テメェ、いい加減にしやがれ! 警察が来てるんだぞ、ナメてんのか?」



虎太郎が必死に男の相手をする一方で、男は虎太郎との格闘を楽しんでいるようにも見える。



「そんなこと言ってもよぉ……こっちは『殺せ』って明確な命令が来てるんだ。警察が来ました~こりゃ大変だ~って尻尾巻いて逃げられるかよ。俺が狙撃手に殺されちまうよ!」



男は虎太郎と揉み合いながらも周囲の状況を確認している。



「虎、周りの様子に気を付けて!」


「気を付けるって……あ!」



格闘しているその部屋の中には、まだ小島の妻子が残されている。格闘の激しさに完全に萎縮してしまっているようだった。



「おい! 早く逃げろよ!……って、無理か。ちくしょう……小島の奴、妻と子供くらい死ぬ気で逃がせってんだ……。」



出来るだけ男を妻子に近づけないように、虎太郎は避ける方向を限定する。

しかし、格闘能力が非常に高い男を相手に、退路を限定するというのは難しい課題であった。



「こりゃ、サンドバッグになってくれるのか?」


「ちっ……!」



次々とヒットしていく、男の拳と蹴り。

虎太郎のダメージが蓄積されていく。



(こりゃヤバいな……。どうにか奥さんと子供を逃がさないと、こっちの意識が飛んで終わりだぜ……。)



必死に防御しながらも、打開策を考える虎太郎。

しかし、自信の身体能力では、攻撃を受けることで妻子への攻撃をさせないと言う選択しか出来ない。



「こうなったら、僕が飛び込んで……!」



制圧術を身に付けているものの、格闘となると虎太郎に劣る北条が、意を決して部屋の中に突入しようとする。



そのときだった。



「……お待たせ。あたしに任せて!」


北条の肩に手を置き、耳元で囁く女性。

振り返ると、そこにはあさみがいた。



「あさみちゃん!」


「無線飛んだから直行した。あたしの担当、この近くだったのよね。対象には警察に出頭して貰ったからもう安心。こっちの加勢するわ!」



それだけ言うと、あさみは躊躇うことなく部屋の中に飛び込んでいく。



「虎!」


「あさみじゃねぇか!」


「コイツを制圧する? それとも奥さんとお子さん逃がす? あたしはどっちでもいいわよ!」



小島一家を守ること、その方法はふたつ。

一家を安全な場所に避難させるか、男を制圧するかである。


「コイツをぶっ飛ばす!!」


「……オッケー!」



虎太郎の意思を聞き、あさみは小島の妻と子の方へ直行する。


「逃がさねぇって!」



男は、あさみと妻子の合流を阻もうとする。が……



「テメェの相手は、この俺だろ?」



虎太郎が男の襟を掴み、力一杯引き倒した。



「ちぃっ!!」



男が倒れたその隙に、あさみが小島の妻と子を部屋の入口の方に引き寄せる。



「もう大丈夫。あとはこのオジサンが守ってくれるわ。」


北条に妻子を託す。


「うん、このジェントルマンに任せておきなよ。あさみちゃん、あまり深入りしない方がいい。彼はきっと、格闘のスペシャリストだよ。」


「分かってる。でも北条さん、私だってスペシャリスト。しかも、『この手』専門のね!」



あさみは北条に笑みを向けると、そのまま部屋の中へと戻っていった。



「全く……ウチの課の若者たちは、血の気の多い子ばっかりだよ。」


やれやれ……と両手を上げる仕草を見せ、北条は小島を見る。



「君さぁ……もう奥さんとお子さんを残していかないようにね。もうすぐ警察の応援が来る。それまで君がしっかりと家族を守るんだ。」


「あ、あぁ……。」



この小島という男が、過去に何をした男なのか、北条は知っている。

そんな小島に、『家族を守れ』などと言ってしまった自分が可笑しくて堪らなかった。



(家族を失うことになった、そのきっかけの男に家族を守れだなんて、馬鹿げてるよね……。ごめん、灰島くん。)



もしもこの場に灰島がいたならば、小島をどうしたであろうか?

気持ちに任せて殺しただろうか?

それとも、正義を守る警官として、罪を償わせただろうか?



「僕はね、灰島くんが今でも警察官であることを祈るばかりだよ……。」



8年前の事件の後、結局灰島の遺体は見つからなかった。

きっとどこかで生きている。

今までそう思ってきた北条であるが、最近はもう一つの可能性を感じていた。

その『可能性』を打ち消すために北条は言ったのだ。


『警察官であってほしい』と……。



一方で、虎太郎とあさみは男の確保のために全力で男と向き合っていた。



「コイツ……あさみが加わったのに倒れやしねぇ……。」


「1対多数の闘い方を心得ている……あんた、格闘家じゃないね?」



虎太郎とあさみの波状攻撃にも怯むことなく、部屋の造りを生かして攻撃を躱していく男。

迷いなどは微塵も感じさせず、『こう攻められたらこう対処する』というマニュアルに沿って行動しているようにも見える。



「あんた……特殊部隊の出身?」


あさみは確信する。

この男は、少なくとも日本で訓練を受けた男ではない。

海外の、より本格的な軍事訓練を受けている、と。



「嬢ちゃん、お前もだろう? このチンピラと比べたら、動きに全く無駄がねぇ。格闘しながら懐かしさを感じる奴なんて、そうそういねぇよ。」



男は、笑いながらあさみに言った。


「チンピラだと? ふざけやがって……!」



明らかに格下に見られている虎太郎が、男に詰め寄っていく。

それをあさみが手で制しながら、虎太郎の側で囁く。



「コイツの情報が少なすぎるわ。ほぼ『神の国』の幹部で間違いないだろうけど、もう少し話を聞きましょう。たぶんコイツは、確保して尋問したら自害する。そんな気がするわ。」


「マジかよ……。」



特殊部隊においては、味方の情報が漏れることを最大のタブーとしている。

味方の居場所、勢力、名前などを漏らすと言うことは、それ即ち部隊の壊滅を意味する。



「ここ、日本だぞ……?」


「日本でもよ。特殊な組織に在籍していると言うことは、それなりの覚悟も必要なのよ。手合わせして確信した。アイツ、死ぬことに何の恐怖も躊躇いも感じてないわ。だからこそ、あんなに思いきった闘い方が出来るのよ。」



あさみの目は真剣そのもの。

うっすらと冷や汗を浮かべているその表情を見て、虎太郎もその真剣さを感じる。



「どうする?」


「民間人の家、しかも避難しきれていない。ここは慎重にいくわよ。……逮捕したい気持ちはあるけど。」



臨戦態勢を緩め、男との会話を試みる。

男との位置関係に注意し、退路をそれぞれ完全に塞ぐ。



「テメェは、何者だ?」


「あの男、殺しに来た通りすがりだ。」


「通りすがりな訳ねぇだろ!」


「『神の国』での立場は?」


「……やれやれ、大体目星は付けてますって訳な。」



問い詰める虎太郎とあさみに対し、男は両手を広げて呆れたといったジェスチャーを見せる。



「組織のなかでは、俺は『アサシン』と呼ばれてる。まぁ、殺し屋って奴だな。だが、直接顔を合わせた幹部は二人しかいねぇ。盟主と狙撃手だけだ。」


「アサシン……!」 



意外にも素直に自分の事を話し出した男。

それでも、あさみは慎重に尋問する。


 

「あんた程の男が、どうして盟主と中途半端な杯を交わしたの?」


「まぁ、力ずくでねじ伏せるって言うならそれでも良いんだけどな……盟主さん、あいつはかなりやべぇぞ。格闘能力自体は俺の方が絶対に上だ。だがな……あの人の目には殺意以上の何かがあるんだ。逆らったら殺される、そんな何かがな……。」



アサシンと名乗った男が、苦笑いを浮かべる。


「だから、コイツらのうちの1人だけでも殺して帰らなければならない。それが俺の役目だからな。」



その視線は、部屋の外に居るであろう小島一家に向けられる。



「私たちが、一体何をしたって言うんですか!!」



そのやり取りを聞いていた小島の妻が、必死に声を振り絞る。


その様子に、アサシンは大きな溜め息を吐いた。


「お前……本気で言ってるのか?」



アサシンは鬼のような形相で、小島の妻を睨み付ける。



「心当たりはないのか? えぇ? 旦那さんよぅ……」


「え、えっと……」



小島にはやはり心当たりがあるようで、なかなか答えることが出来ないでいた。



「敵に頼みごとをするのも可笑しいとは思うけど……この子だけは、離れても良いかな?」


おそらく、この雰囲気では小島の過去の悪事が妻に知られるのも時間の問題だ。

小島の件については自業自得だが、北条は彼の子供にだけはこの先の光景を見せたくなかった。



「怖い思いをして、さらに悲しいことを聞くのは、子供には辛いよ。」


「……ちっ、下の階で待たせろ。逃がすなよ。コイツらを殺し損ねたら、ガキを殺すんだからな。」


「……恩に着るよ。さぁ、こっちに来るんだ。」



北条は安堵した。

アサシンは応じないだろうと思っていたのだが、意外にも階下に行くことを承諾したのだ。



「虎、あさみちゃん……頼むよ。」


子供の相手は、こう言う場合女性の捜査員にさせるのがセオリーである。

大人の男が相手だと、子供はなかなか心を開かないのだ。



しかし、この場は北条が子供の面倒を見ることにする。

虎太郎とあさみ、2人を相手にすることで現在の均衡が保たれているのであれば、そのどちらか一方が欠けるのは得策ではない。



「はいよ!」


「……了解」



虎太郎とあさみも、その北条の真意を悟ったのか、小さく返事をした。



「アンタの旦那さんなぁ、人……殺してるんだよ。」


「…………え?」



アサシンの突然の言葉に、小島の妻は言葉を失ってしまった。


「殺してなんていない! 信じてくれ!」



そんなアサシンに必死に言う小島。


「あぁ? 同じようなもんだろ。お前のせいで人が1人死んだ、それは変えようのない事実だろうが!」


「うっ……」


完全に言葉を失ってしまった小島に、妻の表情が曇っていく。



「ねぇ……何をしたの?」


小さく震えながら、小島に訊ねる妻。

小島はなにも答えることが出来ず、ただ俯いていた。



「早く白状しろよ! 今さらテメェの体裁なんてどうだって良いだろ。」 


「うぅ……!」



話してしまったら、これまでの幸せな生活は二度と帰ってこない。

アサシンが来た時点で、平穏な生活は幕を閉じてしまったのだ。


「悪いけど……潮時だよ。奥さんの前でしっかり話して、許して貰おうよ。」


「……うぅ……それだけは……!」



自分の過去の闇を公にはしたくない小島。

しかし、過去に犯罪を犯しながら、都合よくいつまでも隠しておくことは出来なかった。



「コイツはなぁ……元暴行犯だよ!」



アサシンが、小島の妻に容赦なく言い放つのであった。


「ぼうこう……はん?」



アサシンの言葉に、小島の妻は目を見開き、何を言っているのか分からないといった様子であった。

その様子を見た北条が、その様子を案じる。



(無理もないよね……。突然、旦那さんは犯罪者だと言われて、そうですか~って理解はしないよね。)



「ほんとう……なの?」



妻の真っ青な顔が小島に向けられる。

小島は、項垂れることしか出来なかった。



「お前……言ったよな? 私たちが何をしたって言うんですか!! ……お前の旦那はな、か弱い女を欲望のままに襲って、そのショックでその女は死んで、自分は権力者のパパに事件を揉み消してもらって悠々と生きてきた。それで人並みに恋愛して結婚して幸せな家庭を築いてると言うわけだ。……これでも、なにもしていないと言えるか?」



妻を追い詰めるように、アサシンが言う。



「この男は、人から恨みを買ってるんだ。若い、未来ある女の未来を奪った。その他にも余罪はたくさんあるだろうよ。まぁ、みーんな揉み消しちまったけどな、優しい優しいパパがな!」



アサシンは、怒りに震えているようにも見えた。

その様子に、北条も違和感を感じる。



(なんだ? まるで自分の事のように……)



絶望にうちひしがれた様子の小島の妻。

もう、反論も抵抗もする様子はなかった。



「テメェ!!」



虎太郎が、これ以上アサシンが追い詰めないように、制圧にかかる。



「虎! 一人じゃ無理!!」



しかし、あさみの制止もむなしく、虎太郎はいとも簡単に弾き飛ばされる。



「ちっ……なんなんだよ、コイツは……!」



腕っぷしには自信があった虎太郎だったが、今回は全く歯が立たない。

悔しさに舌打ちする虎太郎。


しかし、そのときだった。



「虎、良く耐えたよ。……時間だ。」



北条が、部屋の窓の外を指差した。



「……え?」


虎太郎とあさみ、そしてアサシンがそれぞれ窓の外を見ると……。



「遅くなってすまん!」


「邸宅を囲むように配置しろ!絶対に逃がすな!」



捜査一課長・稲取と、古橋隊長をはじめとするSITが配備されていた。


「どうしてここが……?」


不思議そうな顔をする虎太郎に、北条が説明する。



「虎の後を追っている間に手配しておいたんだ。幹部は必ずどこかに来る。殺しの依頼を受けているのはきっと幹部だけ。だから、いちばんはじめに幹部が命を狙いそうな人物を挙げて、出来るだけ早く急行するよう要請したんだ。」


「たったあれだけの時間で、ここまで計画していたのかよ……!


緊急事態の最中、北条はそれでも冷静に状況を把握していたのだ。

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