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こうして、警視庁各課あげての犯人捜索、そして仕掛けられた爆弾の捜索・解除の大仕事が始まった。
「とりあえず、本部の情報が入ったらひとつずつしらみつぶしに探すしかねぇな、俺は。」
虎太郎は、司令部からの情報を頼りに、気になるところ、周辺住民への聞き込みを中心に捜査をすることにした。
「俺は、10年前の事件の現場となった場所をひとつずつ当たってみる。爆弾が仕掛けられていたら、その程度によって即解除か応援を呼ぶか決める。犯人からのメールが来たら、その時点でその現場に急行する。俺に来る予告なんて、ろくなものじゃないからな。」
一方の辰川は、心当たりのある場所の爆弾解除、そして犯人の犯行予告に対しての爆弾の爆発の阻止を受け持つことにした。
もちろん、心強い仲間もいる。
「大きな爆弾があったら、西尾の力も借りようと思う。司令、良いよな?」
「……えぇ。私からもお願いしておきます。まずは人命の安全が第一です。」
司令である司も、その立場を最大限に生かしたバックアップをするよう準備をする。
「でも……後手後手ね。中山の所在が分からない上に、爆弾をいくつ仕掛けられているのかも分からない。そして、予告が来ないとその爆弾の位置も確定しない……。犯人の掌で踊らされているみたいだわ。こんな時……。」
そこまで言いかけて、司は言葉を飲み込んだ。
(いない人のことを考えても、仕方ないわね……。)
もし、自分の知る人物が隣に居たら、どういう判断をして、どのように仲間に指示を出すのだろうか?
そこまで考え込んでしまった司だったが、今は自分が特務課の司令。
自分がしっかりしなければ、と両頬を力強く叩いた。
「志乃さん、悠真くん、中山の周囲を徹底的に調べて。所持している車、住んでいる場所、旅行歴、家族のこと……調べられる範囲で調べてくれればいいわ。そこでういちばん有力だと思われるところに、虎太郎くん……向かってちょうだい。判断はあなたの直感に任せるわ。」
司が特務課のメンバーに指示を出す。
「了解!!」
「はーい。」
「……了解!!俺のことはどんどん動かしてくれ!爆弾処理が出来ない分、ストレス溜まってんだ。体力は有り余ってるぜ!」
「任せたわよ。虎太郎くん、まずは西尾さんと合流してちょうだい。彼は中山と同時期に引退した親友同士。何か話を聞いて分かるかもしれないわ。」
「OK!……ってもうそんなことまで調べたのか……。」
「10年前に警視庁にいた人ならみんな知ってる有名な話よ。とりあえず豊洲方面へ。合流地の微調整は追ってするわ。」
「了解!!」
司の指示で、メンバーが一斉に動き出した。
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