第6話 デートにしては、彼氏が甘い!?

「碧、まだか?」

「うるさいわねっ、ちょっと待ってよ!」


服は何択かに絞られたけど…今日は蓮との久しぶりのデート、ああ、どれがいいの!?

こういう時は、もうワンピース一択よね!!


どたどた、と階段を駆け降りる。

はあぁぁ、蓮ってば、今日もかっこいいぃぃ…………!


「じゃあ、行こうか」


あ、手は繋いでくれないんだった……。

そう、蓮はもう私のことなんて興味がないんだ。これは、私を気遣っての蓮の優しさーー。


「ねえ、一歩遅くしてよねっ、そんなことも考えられないの!?」

「はあーお前が遅いだけだろ。早かったり遅かったり、気まぐれだな、ほんと碧は」


た、たしかに……。

大学の時は私が恥ずかしがってばかりで早すぎたし、今は逆に遅いし……。

ぐうの音も出ない。


歩いているとクレープ屋があった。美味しそうなので寄ってみた。

蓮は買ったみたいーーあ、私が好きな苺のーー!!


いいなぁ、羨ましい…けど、私今、ちょい金欠気味……。あんまり使えないのよね、お金。


「なあ、このクレープ食べる?」

「っ………………!」


ええええええ!?だってっ、それはっ、蓮が一口食べたものじゃない!

蓮は、気にしてないのかな……私だけ、いやらしいみたいに見えちゃう。でも、でもーー!


「はっ。食べれないよな?」


えっ、!そんなぁ…できれば、できればーー大好きな人と、間接キスしたいよぉ……!

よし、ここはもう、いっちゃえ!


「た、食べるし!」


いけ、上川碧!

一口食べる。多分、顔が真っ赤だよね、私ーー。


あ、れ……蓮も、なんだか赤くない……?


「碧、行くぞ」

「へ、は、うん」


変な声でちゃったじゃない!うぅ……恥ずかしい!!


私たちは、すぐに目的地、神社へ行くことにした。


ふふふ。

ここは、私が提案した場所なのよ。蓮にちょっと悪戯しちゃったのーー!


あ、神主さん。

あの人に聞いてる風だったらわかるよね!?


「ここって、縁結び神社ですよね?」

「ええ。そうですよ」


そう、ここは縁結び神社。

嫌いな私と一緒に来るって、どんな気分よ、蓮!!ーーと思ったら自分で思って辛かった。

蓮を見るとーーあれ、赤くない!?

き、き、気のせいよぉ……………………!


二礼二拍手して、お賽銭を入れる。


ふぅ。

神様。


かっこよくてかっこよくてたまらない大好きで大好きな蓮が、私にもう一度振り向いてくれますようにっ!そして私も、永遠に蓮を大好きで、一緒に暮らせますようにーーー!

今、隣に並んでるだけで、心臓がばくばくしてるんですっっっっ!!!!!!

それと、私は蓮に嘘をついています。本当は、大好きなんですーーーーー!ええ、それはもう!どうか、伝わりますようにぃぃ………………………………!!!


目を開けて、一礼し、再び蓮を見る。

なんだか今日は、蓮が甘くてしかも顔が赤い……!私にとってはこれ以上ないご褒美なんだけど。


ああ、改めて思う。


私の彼氏、かっこよすぎるぅぅぅぅ……………………!






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