第13話 3.男の子の正体を追え!

カッチとの電話を終えた後、哲也はナオケンといずみに、カッチが話した事を伝えた。


『で、カッチの様子、どうだった?』


『元気なかったよ。当たり前だけど・・・』


『で?カッチとは何時会えるんだ?』


『明日、お祖父さんのお葬式なんだって、明後日なら、家の外に出れるかもって、言ってたよ』


『出れる事が決まったら、又おれの家に電話してくれるって』


『そうか、早くカッチに会いてぇな・・ふう~』


ナオケンは、そう言うと、疲れた様に溜息をした。


カッチの気持ちを考えると、みんな、溜息しか出なかったのである。


『しかし、昨夜の話・・・そんな、怖い事があったのかよ・・。』


『だけど、よく助かったなあ・・カッチ』とナオケンが言う。


『奇跡だよ・・・』と哲也もナオケンの言葉に同意するように感想を言う。


『だけど、その心の中に話しかけて来た子って、私気になる・・』


『その子は、私達をあの妖怪から、どうして助けてくれるの??』


『その男の子は、誰なんだろう・・・・私達の事だけ、それともあのバケモノに狙われた人を助けているの?』


いずみが、カッチを助けてくれた男の子の幽霊に対して、疑問を持ち、ナオケンと哲也に投げかけた。


『カッチが言うには、オレたちぐらいの男の子だったって』


『私達のだれかの守護霊しゅごれい?』


『・・・う~ん、ワカラン・・・』


ナオケンが頭を抱えて苦しむように言った。


哲也が気になったのは、自分達と同じくらいの年だという事だった。


『もしかして、病院に入院してた佐々木一馬さんと関係あるのかもしれないな』


『・・・それって、一馬さんの生霊??』


『委員長、生霊ってなんだよ、幽霊は知ってるけど・・』


ナオケンが、いずみに質問する。


『死んだ人は、幽霊。生霊っていうのは、未だ生きてる人が、幽霊みたいに魂になって彷徨さまよっている事よ』


『オオウ・・』


ナオケンが、納得して、クレヨン●んちゃんみたいな声を出す。


『あとは、幽霊かも、行方不明になって、戻って来れたのは一馬さんだけ、後の二人の男の子が行方不明のままだって聞いたから、10年前に』


『テッカの言っている意味は、その二人のうちの一人が、幽霊になってオレ達をアイツから守ってくれった』


『そう言う事か??』


『・・つまり、どっちでも、10年前の俺たちの先輩の誰かって事?』


ナオケンが、頭の中を整理する様に二人に言うと、いずみと哲也は同時に頷いた。


『だけど、10年前だぞ、もう、その時の卒業生の人達って、大人になってるだろ』


『確認なんかできないだろう・・』


ナオケンが諦めた様な感じてそう言った。


『私、知ってるの。確か、学校って、毎年の卒業アルバムを、一冊だけ取ってあるの』


『どこに保管しているかは、分らないけど』


『学校って、今、夏休みだろ、誰もいないよ』


ナオケンがいずみの期待に満ちた言葉を、悲観的に否定する。


『夏休みって、お盆休み前だったら、当直の先生が一人は学校に来てる筈・・』


『ホラ、夏休みでも、部活動やってるだろ。うちの妹、ミニバスで、昨日も学校行ってたし』


『体育管使う時、開けてくれる先生がいるんだ』


『その日で、違うと思うけど・・・』


『ミニバスの先生って、誰だ?』


『5年1組の福岡貞子ふくおかさだこ先生・・・』


『ゲェエッ、福貞ふくさだかよ!、あの先生、女の先生だけど、怖ぇんだよな』


『怒るとツネるし・・・オレ、つねられた事あるから。』


『だけどね、貞子さだこ先生、本当は優しいんだよ。メガネかけてて、厳しい事言うけど、怒った後、必ずフォローしてくれるし・・』


『俺、ソレ聞いた事ある。妹が、そのギャップが可愛いって、言ってた』


『テッカ、何だ、そのギャップって?意味は?』


『確か・・・差だったかな』


『怒った時と、優しい事を言う時の差』


『なあんだ、ツンデレか!つ~んとして、デレだろ、ツンデレだよ』


『福貞と言えば、カガヤンと少し噂になってるよな。二人とも、未だ結婚してないし・・』


『おいおい、話しが脱線してるよ、とにか~く、明日午前中に学校へ行こう!』


哲也は、ナオケンの暴走を止め、3人の次の日の方針を決めた。


『じゃあ、私、今日の夜、一応、加賀谷先生に学校へ行く、許可をもらっておくね』


3人は、そう話をまとめ、今後毎晩、親から携帯電話を借りてベットに入る事、何かあったらその携帯で助けを呼ぶルールを決め、散会したのであった。

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