第2章 謎の少年

第11話 1.昨夜の出来事と、友の覚悟

『‥‥、テッカ、オレだ。祖父ちゃんの事、もう知ってるよな・・』


『・・うん』


哲也は一言だけ、そう伝えただけで、後はカッチの独り言の様な告白を黙って聞いた。


カッチも、それ以上の返答を期待してはいないと哲也は感じたのであった。


『今、家の中に、親戚の人が一杯来てるんだ』


『祖父ちゃん、オレ達助けるために、多分すげぇ頑張ってくれたんだと思う・・』


『オレ、家に居たのに助けれなかった』


『祖父ちゃんが、克彦は危険だから部屋に居ろって、俺の部屋に護符を貼って、部屋の窓にも貼って』


『何があっても、朝、太陽の日が昇るまで、出て来るなって言われて・・・』


『オレ、部屋の中に居たけど、ずっと窓から祖父ちゃんがいる方向を見ていたんだ』


『部屋の灯りは消してたけど・・』


『夜中にさ、ズズ、ズズッて地面を這う音が聞こえたり、祖父ちゃんの叫び声が聞こえたんだけど・・』


『オレ、本当に怖くてさ・・・ベットの布団を頭からかぶって、出ていけなかったんだ・・・』


『・・・暫くしたら、誰かがおれの部屋をノックしたんだ』


『克彦、開けておくれ、お前に話があるって、じいちゃんの声だった・・・』


『部屋にはカギがかかってないんだぜ、開けようと思えば、じいちゃんだって簡単に・・』


『オレ馬鹿だから、開けようとしたんだ。祖父ちゃんに、何があっても開けるなって、言われてたのに・・』


『被ってた布団を、投げて・・・、立とうとしたんだ』


『そしたらさ、ベットの上で、急に身体が動けなくなって、仰向けのまま起き上がれなかった』


『今考えると、カナシバリっていう奴だった』


『そしたら克彦開けておくれって祖父ちゃんが優しい声でもう一度言ったと思うと、突然声が変わって』


『開けろぉ!開けろっていっているんだ、居るのは分かっているぞ!』


『あのばあさんみたいなかすれた声、病院で聞いたあの声だった』


『オレ、もう、怖くて、頭がパニックになって、だけど、音立てちゃだめだっと思って、息を止めた。30秒ぐらいしかとめれなかったけど・・』


『暫くすると、何かをひきずる音と、階段を下りていく音が聞こえたんだ』


『オレ、内心、瞬間的に祖父ちゃんの事なんか忘れて、良かった、行ってくれた、助かったって思っていたら・・』


『窓から、見られている気がして・・・・』


『赤い光のようなモノを感じたんだ。・・・見ていないから、感じたとしか言えないんだけど』


『オレ、身体が動かないから、目だけで、その赤い光を探そう思ったんだ』


『そしたらさ、急に心の中に声が聞こえたんだ・・。市立病院で聞いた、あの男の子の声だった・・』


(ダメだ!その光を見てはダメ。その光をみたら、君はアイツに操られ、窓を開けさせられる)


(天井の右側、窓とは逆の方向をジッと見るんだ・・)


(天井の右側を見て!)


『オレは、心の中で聞こえる声に従って、言われた方向をジッと見たんだ』


『そしたら、男の子が、そう、それでいいって、それを聞いて何だか、オレほっとしてさ』


『朝まで、頑張れば、アイツは、居なくなるからって、窓を絶対見るなって』


『その後、アイツが窓のガラスを叩いたり、又祖父ちゃんの声で話しかけたり、怖い声で窓を開ける様に脅してきたけど・・・その子がずっと励ましてくれて・・・朝を迎える事ができたんだ』


『朝、急いで寺の門まで、見に行った時、祖父ちゃんがお腹を抱えて、すごい血を流していた』


『もう、その時は息をしてなかったんだ・・』


(君のお祖父ちゃんは、身を挺して、君を守ったんだ。ごめんね、ボクの声、大人には聞こえないんだ・・・)


(君のお祖父ちゃんを助ける事ができなくて・・・ごめん)


声が聞こえて、みると、自分と同じぐらい、多分小学校5年生ぐらいの男の子が、泣き顔で謝っていた。


ほんの少しの間だった。男の子の身体は、ユックリと透明になり、気がつくときえていた


カッチは、哲也に自分が経験した恐怖体験を語り、最後に伝えた。


『テッカッ、オレの今の話、信じてくれるか?オレ、怖いよ。』


『だけどおれ、・・・絶対にアイツを許さない。オレ、祖父ちゃんの仇を取りたいんだ』


『・・・・分かったよ』


哲也が言った、分ったという言葉は、オレもお前に協力するぞという意味だった。

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