支えられるより支える側に

白鷺(楓賢)

本編

マッチングアプリを利用して気付いたこと。それは、私が思っていた以上に出会いを求めていないのではないかということでした。周りの影響もあって登録したけれど、会いたいとか、良いなぁという感情があまり湧いてこなかったのです。むしろ、まだ早かったかと考えてしまうことの方が多かったほどです。


年齢的な焦りが全く無いと言えば嘘になります。確かに、周囲からのプレッシャーや、世間の常識が頭をよぎることもあります。しかし、それほど強い意志で「恋人を見つけたい!」と思っているかと言われると、そこには疑問符が浮かんでしまいます。


振り返ってみると、私はこれまで多くの支援を受けて生きてきました。自発的に行動したこともありますが、誰かに支えられていたことが少なくないことにも気づきました。恋愛経験は無いものの、支えてくれた人たちの顔は鮮明に覚えています。


将来のことを考えると、訪問ヘルパーを頼むことやグループホームに入ることも選択肢として頭に浮かびます。一方で、「ひとりでは生きていけない」という不安も心のどこかに存在しています。それでも、パートナーが本当に必要なのかと自問自答すると、答えは簡単には出てきません。


本音を言えば、支えられるよりも支える側になりたいという強い思いが私にはあります。それでも、迷った時や心が揺れる瞬間には、誰かに頼りたくなることがあるのも事実です。それが誰なのか、まだはっきりとは分かりませんが、ここ数ヶ月、マッチングアプリを通じて考える時間を得られたのは確かです。


もう少しこのアプリを使いながら、様々な選択肢を頭に浮かべつつ、じっくりと将来について考えてみようと思います。焦らず、自分のペースで、何が本当に自分にとって必要なのかを見極めるために。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

支えられるより支える側に 白鷺(楓賢) @bosanezaki92

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ