中西が荒井注との対話を振り返りながら独房で過ごしていた頃、荒井は別の場所で新たな出会いを迎えていた。

刑務所の敷地内にある運動場で、荒井は何気なく歩いていた。その時、ふと目の前に、一人の男が座り込んで何かをじっと見つめているのが目に入った。その男は、志村けん――荒井が一度会ったことがある芸人だった。

荒井は興味をそそられ、志村のそばに寄っていった。「おい、何してんだ？」と声をかけると、志村は顔を上げて荒井を見た。

「ん？ああ、荒井さんか。ちょっと考えごとしててな。」

「考えごと？お前が？」荒井は驚いたように言った。

「何だバカヤロウ！」と、志村は冗談めかして返すと、荒井は思わず笑った。

「お前もか、志村。だが、本当に何を考えてるんだ？」

志村は少し真剣な表情になり、「ここにいる奴らのことさ」と言った。「みんな、それぞれに色んな事情があってここにいる。お前もそうだろ？」

荒井は腕を組み、少し考え込んだ。「まあな。でも、それがどうしたってんだ？」

志村は小さく笑い、荒井に向かって言った。「俺たちができることは、みんなに少しでも笑顔を届けることじゃないかと思ってな。お前と一緒に、ここの連中を笑わせる方法を考えてたんだ。」

荒井は驚いたが、すぐに理解した。志村の提案には、いつもの彼らしいユーモアがあったが、その背後には他の囚人たちに対する深い思いやりも感じられた。

「なるほどな、志村。お前のその発想、嫌いじゃないぜ。でも、どうやってやるつもりだ？」

志村はニヤリと笑い、「何だバカヤロウって言うところから始めるさ。」と冗談めかして言った。

二人はその日から、囚人たちを笑わせるためのプランを練り始めた。彼らの間には不思議な絆が生まれ、荒井と志村は刑務所内で一風変わったコンビとなって、皆に笑顔を届けるべく奮闘することになった。

その後、中西も彼らの活動に巻き込まれていき、復讐の決意とともに、少しずつ心に希望を取り戻していくのだった。

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