*第3話 人形の危うさ①~➂

あれからまた経った。

「少女についての聞き込みあれで良かったのか?

ロクな情報も集まって無いと思うが。」

「ええそれで貴方の条件である。1つ言う事を聞いて欲しい,無理そうだったら構わないって言っていた権利は何に使うのかしら?」

「あぁ,新たに人形を作って欲しい。」

「それくらいならいいけど。用途は何?」

「外の世界を旅したい。ここは退屈だから

それに所長の目覚めにはまだ時間がある。」

まぁ所長に思い入れも義理もあまりないけどな。

「無計画ね。」

腕にぐにっと感触が走る。

違和感を覚え腕を見ると腕の先が消えていた。


 攻撃動作が全く見えなかった。

床を見ると見えるのは腕。

断面から綿,糸,何たら石,が見え人形らしく生々しさは無い。腕の切断は恐らくコランの仕業だろう。だが何故?

「いいのか?これ作るの大変だっただろうに。」

「えぇ。これしきの修理は朝飯前ですから。」

「…それよりこのように不測の事態が起こり

人形の修理が必要となった際はどうするのですか?

技術の流出は許しませんよ。」

「忘れたのか?僕の能力はヒール再生。自身をを治癒することだ。」

「!」

そう言って腕の断面同士をくっつけ能力を使う


”[自己再生アンデット]”


何も起こらなかった。


「え?」

と、思わず腕を落としてしまった。

失敗はしていないはず。

「恐らく人形を自分の体と認識していないのでは?

これだと冒険はまだまだ先ですね。」

「なるほど人形の体を自分の体と思えばいいのか…」

もう一度。やるか


”[自己再生アンデット]”


腕は再生した再生したのだが

”腕が新たに生えてきた”。

植物が成長するかのように。

そして先代の腕は床をぴちぴちっと跳ねている。

「っつwwww」

滑稽すぎる。

「…。」

思わずコランも少しだけ微笑んだ気がした。

「ヒールの練習から始めましょうか。」

数時間,魔力を人形運用のぎりぎりまで消費し

[自己再生アンデット]の練習をした。

さっきのはまぐれだった様で


そしてわずかな損傷の腕や末端の再生,回復なら

五分五分で動くよう再生できるようになった


「ふむ魔力切れ,となると宝石人形の

基本構造でもお勉強しますか。」

「えぇ…あぁ…。」

コランはここ半年くらい寝てないはず。

人形だから平気なのか?


「まず人形の素材について説明しましょうか…」

「使用している素材は…あっそもそも能力で治せるんでしたね。」

「ではこちらの本を渡しておきます

人形の構造,素材その入手法が書かれた物です。

貴方には無用の長物かもしれませんが。」

渡されたのは指二本分くらいの厚さの本。

吐きそうな程の文字とリアルな図解,地図。

うん枕行きかな。

「暇なときにでも読んで下さい。」

「…はぃ。」

・・・・・・・・・・・・コランの人形愛が長かったので割愛

「最後に貴方の人形適性を見たいのですが」

なんだよもうへとへとだよ。

横を見ると積みあがった本が。

「貴方の種族は?」

赤水晶レッドファントム

「…魔力回復浄化に苦手分野がない…

しかも能力が再生…」

「で、適正は?」

「十分です。恵まれていますね。冒険用の体ですかあと半年下さい」

「分かった。」

そうして無事終わるかと思った

「因みに旅に出る際は操作補助なしでお願いします。

リハビリ,頑張りましょうね」

「あ”ぁっあ?!」

道のりは遠そうだ。そしてきつそうだ。


*****

挿絵↓

跳ねる腕

https://kakuyomu.jp/users/banmeshi/news/16818093084845782626

ちょっとイメージと変わっちゃった。

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