第18話 素材集めを
さっそく作った鋸と鶴嘴を装備欄に登録した後、素材集めやスキル上げも兼ねて林や山の方へ行く事を両親に提案してみた。
「素材集めとかしたいから、山の方へ行ってきてもいいかな?」
「ん~~、流石に1人じゃ不安だから、俺が付き合おうか」
「畑の方もさっきの水撒きで大体終わってるから、あなたはタイチの方をお願いするわね」
「私も行きたい!」
「「それはダメ!」」
「えぇーーー」
「あなたは、私の方の手伝いよ。まだ、全部は終わってないんだから。私一人に押し付ける気なの?」
「むぅ~、分かった」
父さんと母さんの間で作業内容の振り分けがあっさりと決まってしまった。
折角2人で山に入るので、PTを組んで父さんの職業を設定してみようかと考える。
「ねぇ、父さん。山に入る時にPTを組んで、父さんの職業を設定してもいい?」
「ん?職業って、変える事が出来るのか?」
「うん、PTを組んでれば変えられそうだから、園芸関係の職業を付けてみようかと思ってるんだけど」
「ほう、そうなのか。タイチは、今まで職業を付けてたりしたのか?」
「まだ付けたことが無いから、父さんと違うのを付けながら散策できればと思って。付けたことが無いって言っても、加護で職業が貰えてない人は村人になってるけど」
「なるほどな。それにしても、職業を変えられるってのは楽しみだ!」
「お兄ちゃん、私も変えて」
横で話を聞いていてたニーナから声が掛かる。序でなので、距離が離れた時の職業の状態も確認するために参加して貰うことに決める。
「職業を設定してもいいけど、距離が離れるからどうなるか分からないけどいい?」
「うん、それでも良いから変えて~」
「了解。何を付けようかな?」
「ん?お兄ちゃん、職業っていくつ位あるの?」
その質問で大まかに数を数え始めるタイチ。戦闘系も入れて数を数えてみるが、最低でも30個以上ある模様。戦闘系を農作業で付けてもしょうがないけど、本人に選ばせてみようかと、聞いてみる事に。
「なあ、ニーナ。戦闘系と物作り系の職業があるけど、こんなのがやってみたいとかあるか?近い職業を付けるけど」
「そんなにいくつもあるの?う~ん、それなら、お父さんと同じの付けてどうなるか試したい!」
「分かった。じゃあ、同じ園芸系の付けておくね。母さんはどうする?」
「そうね、道具を使った時は距離の限界があったけれど、職業は分かってないのだし、私の方は戦闘系を付けておいて貰えるかしら?」
「それじゃあ、格闘家を付けておくね」
「タイチ、なんで格闘家なのかしら?」
余計な事を言ったと、急いで言い訳を考え始める。助けを求めて2人の方を向くと、気配を消して目を逸らされた。
その瞬間、ここ最近父さんに向けて放った肘打ちが思い出されたので、そこから攻めてみることにする。
「ほら、ここ最近父さんに向けて放った肘打ちがあるじゃない。あの姿がとても綺麗だったから。それと魔法を使う職業だとどうなるかわからないでしょ。それに武器を使う職業だと、その武器が必要になるから、素手でも大丈夫な格闘家を選んでみたんだけど……」
「まぁいいわ。一応褒めてくれたようだし、そういうことにしておきましょうか」
ほっと一息ついて、父さんとニーナを見ると笑顔で頷かれた。
タイチは、助け舟ぐらい出してくれてもいいのにと思ったが、自分も気配を消すに違いないと結論付ける。
たが、これから加護の協力をして貰う為にはフォローを入れようと考えを改める事にした。
これ以上墓穴を掘らないうちに、職業を設定して次の行動に移ることにする。
「今から職業変えるから何かあれば教えてね」
「おう。任せとけ!」
「何ができるのか楽しみ〜」
「私は戦ったりしませんからね」
家から外に出て決めた行動に移そうとした所で、父さんとニーナの2人から質問が飛んできた。
「なぁ、あそこの草むらが光ってるんだが」
「ねぇ、あそこの草むらに光があるんだけど」
採取ポイントが家のすぐ近くにあったらしい。これは、全員で確認しておいた方が認識しやすいと判断し、どちらかに採取して貰うことにする。
「2人のどっちが収穫したい?」
「わたし!!」
「ん、俺はタイチと一緒に行動するから、ニーナで良いだろう」
意見の一致もあり、ニーナに鎌を渡してみる。
「この後、光を刈ればいいの?それとも、何か別のことをするの?」
「光の前で、採取するって考えみてもらえる?それで、体が勝手に動くかもしれないから」
「は~い」
ニーナは、草むらにある光の前でしゃがみ込んだと思ったら、手際よく刈り取りを行い始める。
「勝手に動いて気持ち悪い~~!!」
「気持ち悪い所悪いけど、その光がなくなるまでお願いね」
「わかった~~」
その様子を伺っているが、ニーナの手元には何の収穫物も見えてこない。
刈り取った物が何処に行ったかと考えれば、答えは一つだけだろう。
メニュー画面内のアイテム欄を確認すると、Newと言う文字と共に手に入れたアイテムが表示されていた。合成に使う欠片と、目の前の草むらにはない品物が目に入る。
「………母さん。一つ聞きたいんだけれど」
「何かしら?」
「加護の方に収穫物が手に入ったんだけど、見慣れない物があって、ここで採れるものなのかな~っと」
「そう。ちょっと待ってね……ふぅ~。良いわ。言って頂戴」
「
全てを言い切る前に、食い気味に割り込まれた。やはりここでは収穫できないと確定した模様。
「他にも「待ちなさい!」……取れました」
家計を預かる主婦としては、調味料に興味があるかと思ったんだけど、料理に使われた記憶があまり無かった事につながると判断し、返事を待つことにする。
「タイチ。どうしてここで胡椒が取れるのかしら?」
「さぁ…?加護の力としか……」
「他にもって、何が取れたのかしら?」
「何故か、糸に出来る綿花が……」
母さんが遠くを見つめている。ここ最近、この表情をよく見るようになった。全て、タイチの加護の被害者である事は知っているが、先ほど口からポロリとこぼれたヘマをしたばかりなのでだんまりを決め込む。
そのまま様子を伺っていると、母さんからも一言零れ落ちる。
「一度くらい、撃ち込んでも良いかしら……」
聞こえた!聞こえてしまった!すぐさま後ろに下がり距離を取る。
さっき格闘家に変更したばかりなので、攻撃を受けるのは勘弁願いたい。
そんな事には気づきもせずに、ニーナから終わったとの報告がくる。
「お兄ちゃん。光が消えても、ここの草むらが全然刈り取られてないんだけど?なんで?」
「うん、そう言う加護だと思っておいて。時間が経つと、また同じように収穫できると思うから」
「そうなんだ、分かった」
その受け答えが良くなかったのかもしれない。
いつの間にか後ろに回り込んでいた母さんに、両肩を掴まれた。
「タ~イ~チ~~。詳しく説明してもらおうかしら」
あぁ、またですか。また素敵な笑顔が怖いです。母さん!!
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ご覧いただきありがとうございます。
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