第7話 贈り物は突然に(改)
ようやく牧場物のメニュー画面を確認すると、手紙のマークに点滅するものがついている事に気が付く。
「これは、手紙?メール?が届いたのは分かるけど…。まあ、こんな事ができるのは一人しか思いつかないよね」
きっとそうだろうなと思いつつも、取り合えず開いてみることに。
『初めての畑づくりおめでとう。記念に、種をプレゼントしよう。頑張りたまえ。
じゃがいもの種×3 かぶの種×3
神さまより』
(こっちの行動をみてるんだ。)
転生させただけでは無いのだと、改めて感じ入ることに。
そして、ついさっきまでの呟きに対して事、注意の連絡が来ていないから大丈夫だろうと思い、空に向かってお礼の言葉を口にする。
「神さま、ありがとうございます。家族会議の時に、この種を植えることを提案してみます」
(神さまが送ってきたと言うことは、まずはこれからって考えて良いんだろうな。植える作物の候補ができて一安心だね)
そんな様子を、木陰からのぞき込んでいる人物がいる。
案の定、後ろからこっそりとついてきたニーナである。
「また、おにいちゃんが何もないところで色々をやってる。
きっと加護の力なんだろうけど、ん~~~。知りたい…」
タイチの目の前の空間に映し出されたメニュー画面は人には見えていないため、突然何もない空間で腕を動かしているようにしか見えない。
しかも、突然焦っていたり、黄昏ていたりとコロコロと態度が急変する状況に、ニーナは唯々
そんな状況に気づきもせずに、タイチはメッセージ欄の下に表示された『受け取る』ボタンを押してしまう。
本人にとっては、画面からの受取によるものなので状況がつかめているが、それ以外の人間にはその限りではない。
いきなり虚空から袋に入った物を受け取っているようにしか見えないため、こらえきれずに声を掛けてしまう。
「えぇーーーっ!!何もないところから、袋が出てきた!!」
妹による、本日2度目の声掛けの奇襲である。
種を受け取った状態でみごとなまでに「ビクッ!」っと背筋をそらす形で動きを止めるタイチ。
だらだらと冷たい汗が背筋を伝っていく。
(あぁぁぁ--ーーー、見られてるぅーーー!)
タイチは、声に出したい気持ちを必死に押し止めているため、すぐには反応できない。
(もうね、なんでね。こんなに簡単にみられる場所で操作するかな。馬鹿なのかなオレは!?)
タイチの目から少し涙が滲んでいるが、ニーナはその姿に気が付かないまま、追撃をしてしまう。
「その手に持ってる種、畑に植えるって言ってたけど、お父さんとお母さんに言うよね?」
(しっかり見られてるな~~。泣)
すぐに答えられないタイチだが、ニーナの言葉はまだ続く。
「また、『神さま』って声に出してたから加護だって分かるし」
「んぐっ……。………イイマス」
そんな言い逃れのできない状況に、タイチの頭に前世の言葉が思い出される。
『後悔先立たず』
本当によくできた言葉だなと、半分現実逃避が混じる。
(もうニーナには言い逃れができない状況になっているし、色々と手伝って貰おうかな…。)
(きっと、明日の自分に任せれば大丈夫!)
ポジティブととらえれば良いのか微妙な先送りである。
「じゃあ、お兄ちゃんの意見が変わらないうちに、話し合い開始だね♪」
上機嫌なニーナがタイチの腕を取り、家路に戻ろうとする。
「ふっっ、それじゃあ行こうか…。」
それとは対照的な、タイチの姿がここに。
家族を巻き込む形での家族会議がようやく訪れようとしていた。
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